2023-01-01から1年間の記事一覧
ユニバーサルサービスであり、かつ年賀という特殊要件を持っている日本の郵便局ネットワークが、減り続ける人口やデジタルメディアの普及という圧力から容易に抜け出せないのは分かる。しかし、現実に数字はマギレの余地なく合理化を求めてくる。 郵便料金が…
郵便局ネットワークは、郵便貯金や簡易保険など金融事業も大きくなっていたから、他の金融機関と同等のITシステムや窓口機器を備えるようになっていた。ピーク時20万台ほどもあった国内ATMだが、全体が減り続けても日本郵政のATM保有数は最大級である。 加え…
今年5月、日本郵政の増田社長が「郵便局の統廃合」を口にしたところ、猛烈な反発に逢った。2040年というかなり先に向けて「検討する」としただけなのに、 ・全国郵便局長会会長と会談 ・従業員に説明のメールを送り ・自民党(旧郵政族?)にも説明 するな…
ランキング参加中All About公式ガイドグループ 日頃、中堅・中小企業がサイバー攻撃に逢い事業停止することで、部品納入先の大企業が事業停止に追い込まれる「サプライチェーンリスク」の議論をしている。しかし今回は、サイバー攻撃によるものでもなく、元…
先週の日銀政策決定会合に、多少の期待はしていたのだが、結局裏切られた。政策金利は「ゼロ金利」のまま据え置かれてしまった。せっかく米欧の中央銀行が政策金利上げをしないで円高傾向になっていたのに、1日で2円ほど円安が進んでしまった。 円が安いと…
「核兵器よりも人類の脅威になるかも」と考えられ始めたのがAI兵器。特に自律型致死兵器システム(LAWS)の規制については、国連のグテーレス事務総長が今年末までに専門機関を設立し、2026年ころには法的拘束力のある「AI兵器禁止規定」を安保理で取りまと…
防衛安保関連三文書改訂がなって、1年が経った。8つの項目について、防衛力強化が謳われたのだが、1年間に実効を上げた分野と停滞している分野があるという。 反撃能力の整備加速 課題先送り、政権弱体化が影―安保3文書1年:時事ドットコム (jiji.com) …
一時期、少しは期待していた「ライドシェア解禁」、結局は中途半端な結果に終わりそうだ。今年久しぶりに海外出張に行き、オーストラリアで何度も「Uber」を利用した。非常に便利な交通手段であることは、いまさら繰り返す必要もあるまい。しかるに日本では…
まだ数百機が現役でいるし、生産終了は2026年とまだ先なのだが、ようやくMV-22オスプレイの生産終了が決まった。初飛行以来「未亡人製造機」と陰口を叩かれるほど、事故に見舞われた機体である。先日も屋久島沖に墜落、乗員の遺体回収が進んでいるが、当面世…
デジタル産業は飛躍的な技術発展によって、急激な成長を続けている。もちろん競争は激しくその時々でHOTな分野は異なるが、産業全体としてはずっと右肩上がりである。今HOTな分野といえば「AI事業」だが、現時点ではまだ投資の方が圧倒的に大きく、将来期待…
初日の夕方の打ち上げパーティで、多くの人に出会えたものの、翌朝は最初のパネルに登壇することになっている。早々に引き揚げ、翌日も朝早い新幹線に乗った。本日のテーマは「セキュリティ・クリアランス(SC)」。日本でも導入が検討されているが、まだ詳…
年末恒例、日経紙主催の「Cyber Initiative Tokyo 2023」。今年も企画をお手伝いし、登壇することになった。2日間の日程で、日経ホールから放映(*1)される。昨年はフィリピン・シンガポール・インドなど英語圏からの接続が増え、徐々に国際色が濃くなった…
昨日、英国王立防衛安全保障研究所の人が訪ねてきたことを紹介したが、今日は経団連の会合に危機管理学部の教授と、公安調査庁の部長を招いた会合に参加した。教授は英国の情報管理の状況を説明し、部長はこの1年日本に加えられたサイバーリスクを総括して…
1週間前にメールが入り、英国王立防衛安全保障研究所(RUSI*1)の研究フェローが会いたいといって来た。オンライン会議かと思ったら、サイバーセキュリティの国際会議で来日していて、その期間にどこかで会えないかというものだった。 日時を決めて、オフィ…
「減税」と総理は言うが、市民は「いつメガトン級の増税が来るか」と戦々恐々である。財政健全化はもちろん必要なのだが、無駄遣いの削減が増税より先なのは言うまでもない。なのに「COVID-19」禍で急増した基金が、16.6兆円も積み残されていることが分かっ…
先週、一般社団法人「サイバー安全保障人材基盤協会」が発足した。発足式には、別件があって参加できなかったのだが、その設立趣旨に賛同し、何らかの協力をさせてもらえればと思っている。 サイバー防衛人材育成へ新法人 NTTなど5社、資格創設促す - 日本経…
先週、アラブ首長国連邦(UAE)の首都ドバイで開催されたCOP28に出席した岸田総理は、エジプトのシシ大統領と会談し最大2億3,000万ドルの支援をすると約束した。イスラエルのガザ攻撃によってパレスチナの人達の苦悩を救うキーとなるのはエジプトだし、他に…
先週、JAXA(宇宙航空研究開発機構)にサイバー攻撃があったとの報道が、各社から発せられた。微妙に報道内容の差があるのだが、まとめてみると下記のようになる。 ・攻撃があったのは今夏 ・一部のネットワーク機器の脆弱性を突かれた ・管理用サーバに侵入…
岸田政権の迷走が目立っている。例えば、異次元の少子化対策(実態は子育て支援)をする一方で、高校生の扶養控除を削減するというチグハグさ。子育て支援の充実も重要だし、税の簡素化の立場から控除の縮小も正しい。ただこれを同時にやるというのが、市民…
経団連の、というより十倉会長の発言に関し、メディアが冷たくあたることが多くなった。例えば、 経団連会長が「岸田支持!」「消費増税せよ!」と叫ぶ裏にある、輸出大企業と政府との「国民生活度外視の共犯関係」(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース のよう…
「DX with Security」の議論を方々でしているのは、 ・DXで儲ける道筋が見えないと、セキュリティの原資が出てこない ・DXをすれば、自動的にサイバーリスクが増える ・いくらサイバー攻撃が怖いからと言って、DXを控えるのは本末転倒 だからである。今回は…
デジタルデータの窃盗罪というのは、各国の刑法にも存在していない。デジタルデータは「無形財物」なので、形あるものに関する法律は適用されない。また無体財物の窃盗に関する罪は、電力を盗む以外は法整備されていない。 今回、デジタル法制とフォレンジッ…
では「中堅企業」と指定されると、何が優遇されるのか?それについては<産業競争力強化法>を改正するということしか、記事からは読み取れない。そもそも大企業の中小企業の違いとは、税法上は「資本金が1億円以下かどうか」である。昨今の「COVID-19」禍…
先々週のNHK「日曜討論」で、実業家/著述家の冨山和彦氏が「M&Aで事業が優れた経営者のもとに集まれば、課題の多くは解決する」と発言していた。課題の中には「DX with Security」も含まれているに違いない。以前経済財政諮問会議委員だったデーヴィッド・…
私は、100以上の業界団体が加入する業界団体SC3(サプライチェーン・サイバーセキュリティ・コンソーシアム*1)でも仕事をしていて、サプライチェーン上の弱い輪である中小企業のサイバーセキュリティ能力をどう高めてもらうかの議論を数年にわたって続けて…
私が勤めていた企業グループでは、伝統的にOBの扱いが手厚い。以前はOBの意向がビジネスに影響を与えるきらいもあったが、それは危機を迎えての構造改革によって払拭(*1)された。私も2度目の定年を迎えているが、昨年から「社友クラブ」という冊子が送ら…
このところ、毎日のようにランサムウェア被害の記事が出る。主だったものだけでも、 ・金融サービス会社ION ・ボーイング ・オーストラリアの港湾会社 ・中国工商銀行 が挙げられるが、ほぼすべてでハッカー集団「LockBit3.0」が関与していると思われる。 情…
先週、米国東海岸カリフォルニア州は大忙しだった。APECの首脳会合が開かれたが、それに合わせた日程で、多くの外交交渉が持たれたからだ。世界が最も注目したのは、1年ぶりの米中首脳会談。東欧や中東で紛争が激化していて、南シナ海や台湾海峡の緊張も高…
結局は赤字国債を増やすことになる、今回の大型補正予算。「COVID-19」対策として安倍内閣のころケタの違う大型補正を組み、国の借金は増える一方である。加えて補正予算は精査が甘く、不要不急のものが交り込んでくる可能性が高い。ほんの氷山の一角だろう…
大学教授は産業界から政府を動かせといい、シンクタンク研究員はこういう安全保障環境を知って欲しいと言った。御二人の提案に異論はないのだが、参加者の顔色(当惑?)を見て、一言言っておく必要があると手を挙げた。 ・今日はサイバー空間の話だが、それ…