梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

2026-04-01から1ヶ月間の記事一覧

経済安全保障でのM&A中止勧告

何度か、経済安全保障は産業人には分かりにくい概念だと申し上げてきた。3年前に制定された関連法で、 1)重要物資の供給 2)基幹インフラの安定 3)先端/重要技術の開発 4)特許の非公開 が主旨だと言われても、いまひとつピンとこなかった。今国会で…

昔から「デジタルアドレス」はあって・・・

日本郵便が「デジタルアドレス」を導入するという話は、昨年の春に聞いた。郵便番号ではカバーしきれない、個人・法人等の住所も含めて7ケタの英数字で表記し、郵便物の配送を合理化(DX)するのが目的である(*1)。 今年になって、このアドレスを日本郵便…

新入社員へのセキュリティ教育

昼時に街中を歩いていたり夕方駅に行くと、いかにも新入社員という集団に遭遇する時期になった。2週間から1ヵ月ほどの研修を本社で行い、その後は支社等に散っていくのだろうか、この現象は4月に特に多い。 新人の本音、あとは経営者次第 - 梶浦敏範【公…

総選挙狙いの攻撃、詳報出る!

2月の総選挙、高市総理/自民党総裁から有権者に突き付けられたテーマは「私が総理/総裁でいいかどうか」だった。野党らがこれに反発して、種々の論陣を張るのは当然だが、日本の高市政権に拒否感を持つ中国政府が何らかの介入をしてくることも十分予想さ…

AI規制、それだけでは不十分

生成AIの登場によって、それがただ便利なツールとしてもてはやされた時代は長くなかった。AI-Agentは自らAIたちをオーケストラのように編成して独自の行動をし、人間にそれを見せないところまで発展してきた。先週紹介したように、Anthropicの高性能AI「Myth…

危機レベルによる統制の在り方

ホルムズ海峡封鎖やペルシア湾岸、黒海などでの原油関連施設への物理的な攻撃があり、原油不足が続いている。原油はエネルギー関連だけでなく、様々な業界に恩恵をもたらしていて、化学繊維や樹脂の材料にもなっている。今月大手メーカーTOTOが、ユニットバ…

コンテンツモデレーション実施中・・・

SNS等の投稿でビューを稼ぎ、副業(時に本業)にしている人はどのくらいいるのか調べてみた。<クリエーターエコノミー>を掲げているYouTubeの例では、世界中にクリエーターは約6,900万人いて、大半が収益を求めている。ただ収益化の条件は「登録者1,000人…

オイルマネー&ドル覇権が終焉へ?

米国・イスラエルのイラン攻撃に始まる中東紛争は、世界経済を動かしている原油の供給に影を差した。ペルシア湾岸の製油所や積出港が攻撃され、カタールのLNG基地など復旧に数年かかる被害を受けたと伝えられる。そしてチョークポイントであるホルムズ海峡を…

日本政府の対応に学ぶこと

米国・イスラエルのイラン攻撃から、6週間が経った。国際社会としての大きな問題は両手の指でも足りないくらいあるが、日本社会にとって最大の問題はホルムズ海峡の封鎖。原油やLNG、ナフサなどが出てこられないし、ウクライナがロシアの石油積み出し港を攻…

Google社と共催したシンポジウム

今週月曜日衆議院議員会館にて、会員企業でもあるGoogle社さんと共同で、「Japan Cybersecurity Initiative シンポジウム」を開催した。1年前にJCIをキックオフし、3度の分科会(*1)を経て「日本社会におけるサイバーセキュリティの課題と方策」と題する…

Anthropicは脅威か福音か

ベネズエラ攻撃やイラン戦争の初期に、PalantirのアルゴリズムとAnthropicのAIが活躍したのは確かだ。しかしその後、A社がAIの利用に制限をつけたことでヘグセス国防長官が怒った。トランプ政権はA社を(通常ありえないことだが)サプライチェーンリスクと…

経済安全保障推進法の改正案

いろいろな政策とそれの根拠となる法律は、状況が変化しやすいものについては、3年ごと見直しが行われることが多い。私が民間側として施行にあたる官民連携に関わってきた、 ・個人情報保護法 ・国のサイバーセキュリティ戦略 もその対象である。そして3年…

米国抜きのデジタル貿易自由化

Global &Digital が私の20余年追い求めてきた政策テーマなのだが、世界中で反グローバリズムの動きが顕著になり、デジタルが急伸しすぎるとして批判も浴びて、ちょっと困った状況になっている。2010年代前半、 1)国境を渡るデータの自由 2)サーバローカ…

ロック解除拒否の罰則

トランプ2.0政権になって米国の入国審査が厳しくなり、時間もかかるしスマホやPCの中身を見せろと言われるので、米国へはとても行く気になれないと昨年来思っている(*1)。では他の国はどうなっているのだろうか?調べてみようと思い立ったのは、こんな記事…

世界の事象は根底で繋がっている

このところ、経済安全保障とサイバーセキュリティの関係について議論することが増えてきた。全ての紛争にサイバー空間での何かの行動が付随している、いやまずサイバー空間で何かが動きリアル空間での軍事衝突に至るのが普通になっている。20世紀の終わりに…

セキュリティ資源の目安値(その他)

毎週木曜日に連載してきたセキュリティ資源(予算・人員)の目安値、最終回は「小売・サービス・その他」である。幅広いセクターで、小売・卸売・メディア・娯楽・その他サービスを含んでいる。 もちろんITは業務に欠かせないものだが、他の業種に比べるとあ…

誰ひとり取り残されない危機管理

デジタル庁の幹部から話を聴く機会があった。いわゆる電子政府(含む自治体)の推進にあたりかつては「誰ひとり取り残さない」電子政府を目指すとしていたのだが、昨年「誰ひとり取り残されない」電子政府に、目標が変わったという。わずかに「れ」一文字が…

組織的なデジタル諜報活動

昨日に引き続き、中国関連の話題を紹介したい。先月前半、やたらと中国のスパイを逮捕したとの報道が多かった。 中国のスパイを巡る報道増える - Cyber NINJA、只今参上 フランス・オーストラリア・ギリシア・英国の例が挙がっていたが、それ以外にも、フィ…

再び注目される国家レベルの攻撃

先月お話しをさせてもらったセミナー(チャタムハウスルールなので細部はご紹介できない)で、別の登壇者が「昨今の攻撃者はマルウェアなど使わない。正々堂々、正規のID/パスワードでログインしてくる」と言っていたのが頭の片隅に残っていた。管理用IDと…

国家に対する複数の脅威があるAI

米国発のデジタルサービスには神経をとがらせ、特に国外との情報流通を規制しているのが中国。長らくインターネット上の「万里の長城」を維持していて、今般その罰則規定が強化されたと聞く。 ところが、その中国で「あなた専用の執事:OpenClaw*1」が急速に…

セキュリティ資源の目安値(金融)

サーバーセキュリティにかける予算や人員の目安値、連載第五回は金融分野である。主なセクターとして、銀行・証券・本件・投資銀行・クレジットカードを調査した。昨年も大規模な証券口座乗っ取りが発生したが、直接的にカネを扱うゆえ最も狙われやすい業種…

80年周期説をリアルにするには

高市政権で成長戦略を議論する役割を担っているエコノミストと、直接意見交換する機会があった。彼は冒頭「80年周期説」を説明した。これは、 ・幕末から日露戦争までの40年は上り坂 ・列強に名を連ねてからの40年は無謀な戦争に走って敗戦 ・戦後復興から高…