梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

2026-07-01から1ヶ月間の記事一覧

リープフロッグの失敗事例なのか?

世界経済の中でインドの次に出てくる大国は、アフリカではナイジェリア、アジアではインドネシアではないかと言われている。インドネシアは3億人近い人口を抱え、民主主義国家でもあるので期待が集まっている。 イスラム教徒が大半を占めるのだが、原理主義…

外交組織を狙ったゼロデイ攻撃

仮に今ほど国際関係が緊張していなかったとしても、外務省は極めて重要な官庁組織である。平和な時代には、儀典関係者と通訳だけでいいと予算が多いことを皮肉られたこともあったが、日本で創設されようとしている「対外情報庁」の機能のある程度は、外務省…

マイナンバーカード利用の投票システム

今年の衆議院議員選挙から、もう5ヵ月余りになる。超短期決戦だったので、いくつか問題も生じていた。そのひとつが、投票所入場券の印刷配布が間に合わず、簡易な本人確認で投票をさせてしまったこと。その結果、なりすましがあったのではないかとの懸念がS…

フロンティアAIも倫理は小学生以前

既存システムの脆弱性を発見するというテスト環境で、Anthropicの「Mythos」が非常に優秀な成績を残した。OpenAIも類似の能力をもつChat-GPTの新バージョンを発表し、中国のMoonshotAIも低コストモデル「Kimi K3」をリリースした。これら、従来とはケタの違…

小規模店舗の危機と経営統合

先日別ブログで、大手外食チェーンがタブレットやスマホ注文など店舗のDXを図り、人手不足を解消しつつ朝食提供に進出していることを紹介した(*1)。注文や接客だけでなく、決済についてもQRコードや電子マネーが当たり前になっていて、これも省人化を含む…

サイバーセキュリティ用語を正しく(後編)

「狙われた」は「見つけられた」のではないかと言う研究者は、他にも用語の誤用を指摘した。それは何度も紹介している「サプライチェーン攻撃」。専門家間の議論や専門誌の記事では、「防御の固い企業への侵入手段として、当該企業のサプライチェーン上の企…

サイバーセキュリティ用語を正しく(前編)

最近私の所属するシンクタンクでは「サイバーセキュリティの用語、言葉を正しく使うようにしよう、誤った用法を是正しよう」という議論をしている。直接的なきっかけは、昨年アスクル、アサヒHDへのランサムウェア攻撃で、多くの人がサイバー攻撃なる物を実…

「AI格差拡大」の一つの例

親日派の米国人教授がまた日本に滞在しているというので、一緒にランチを食べた。日本を拠点にフィリピンなど東南アジア諸国と連携して、サイバーセキュリティ人材を育成し、組織間・国家間のサイバーセキュリティ協力を推進するというのが彼の狙い。その取…

ロシアの苦境、日本への期待

ロシア経済は間違いなく苦境にある。ロシア国家統計庁は2025年のGDPは213.5兆ルーブル(約2.6兆ドル)に伸び、世界ランキングで8位に入ったと報じている。ある程度信用するにしても、過度の政府(軍事)支出が数値を伸ばしたにすぎず、経済好調と呼べるはず…

民泊と旅館業の垣根が動く

今日は「海の日」の休日なので、ちょっと柔らか目のお話し。とはいえ、私自身が取り組んできた規制改革に絡むものである。ただし対象はITサービスではなく、旅館業。先月観光庁が自治体に課していた民泊規制について、条例で強化することを認める方針を示し…

Booking.comへの不正アクセス

私もプライベートで利用している旅行サイト<Booking.com>。世界最大手の旅行サイトであり、多数の利用者だけでなくホテルを含めた旅行業という複雑な業界で、多くの情報を扼する立場にある。いわば旅行関連ECの「チョークポイント」である。それゆえ、顧客…

国連専門家パネルのAI報告書

俗にフロンティアAIを称される、ソフトウェアの脆弱性を迅速に発見するなど新しい能力を備えたAI(MythosやFable、GPT5.6など)が登場して、一段と「AIの脅威」が喧伝されるようになっている。私自身は負の部分として語られる悪用リスクについて、世間で言わ…

犯罪の機会を減らす努力も重要

先週、人気アプリ「Discord」を使った未成年者のサイバー犯罪について紹介(*1)したのだが、何人かの識者で「未成年でも生成AIの助けによって高度な攻撃者たりうる事態」にどう対処するかの議論をした。 サイバー分野に限らず犯罪の方程式は、動機×機会×正…

インフルエンサー含めた規制

中国では、いろいろなモノが余っている。出来てしまうEV車などの諸製品、未完成品を含めた不動産、職に就けない若い人・・・である。例えばファッション品などは、非常に安い価格で欧米に流れ出していて、それを助けているのがECサイト(SHEINやTEMU)である。 …

日本はまだ世界第二位の富裕国!

世にいろいろなITサービス企業はあるもので、パリに本社のある<CapgeminiSE>という企業は、企業経営関連のデータ分析からコンサルティング、テクノロジー、アウトソーシングへの事業を拡大し、今は従業員42万人を抱える大企業である。この企業は面白い統計…

生成AIによるサイバー犯罪の民主化

サイバーセキュリティ業界では、ChatGPTの登場によって、ハッキング能力を持たない人でも高度な攻撃を仕掛けることができるようになったと警鐘が鳴らされていた。これを「サイバー犯罪の民主化」などという人もいたのだが、今回その典型的な事例が報道されて…

「防衛公社」設立にあたり・・・

2022年のロシアのウクライナ侵攻以降、鉄と鉄、血と血のぶつかり合いのような戦闘が大規模に(しかも先進国で)行われるなどと思っている人は少なかった。是非はともかく、戦争はスマートになりビデオゲーム感覚で敵の急所を叩き、人的犠牲は少なく短期で終…

減税なんて、とても無理だね

前回のNHK日曜討論、テーマは消費税減税&給付付き税額控除だった。税と社会保障一体改革の入り口であり、物価高騰/格差問題で苦しむ市民にとって非常に重要なテーマである。 食料品の消費税減税めぐり各党税制責任者らが議論 NHK日曜討論 | NHKニュース | …

IT業界の若い人たちに(後編)

AI時代で先行している米国のIT産業では、若い技術者の失業が問題になっている。AI以前に、インド等のIT-Workerと競争させられている米国の若手の現状は厳しい(*1)。ホワイトカラー職に見切りをつけ、<ブルーカラービリオネア>を目指す人も少なくない。AI…

IT業界の若い人たちに(前編)

日本のIT業界は、大きな曲がり角に来ている。ずっと下積みだった企業のIT部門に、近年スポットライトが当たり始めた。 昨年のアサヒHDやアスクルなどのサイバー被害で、IT(&セキュリティ)部門がしっかりしていないと、事業継続に支障があることがはっきり…

中国のダイナミックな大学改革

生成AI、AI-Agent、フロンティアAIなどが登場して、労働市場に大きな変化が起きている。「AIが雇用を奪う」という懸念は、これから社会に出ようという若者たちにとっては、懸念ではなく今そこにある危機となっているようだ。このことは、日本だけではなく、…

子供のSNS禁止措置、ではAIは?

英国のスターマー政権は、16歳未満の子供たちがSNSを使うことを禁じることになった。来年からの施行を目指すという(*1)。SNS利用に年齢制限を求める措置は、多くの国で始まっている。調べてみると、 ■禁止している国 ・オーストラリア(16歳未満) ・ブラ…

日本の株主総会も変わった

6月後半は、株主総会の季節。日本企業は株式会社と言っても、小口株主を増やすための株主優待(*1)、社員に株式を持ってもらう仕組み(*2)、他の企業との持ち合い(政策保有株)等々、大口株主が自社に都合の悪い要求を突き付けてこないような防衛策を採…