政府が普及に力を入れているマイナンバーカードで、トラブルがいくつか報告されている。
・コンビニで証明書を発行したら別人の書類だった
・「マイナ保険証」では別人の情報が登録されていた
・マイナポイントが誤って付与されていた
・紐づけされる銀行口座が別人のものになっていた 等々
「COVID-19」禍の特別定額給付金が、自治体手続きに想定以上の手間がかかったことから、やはり個人に一つの口座を紐づける必要があると行政は認識した。その方法はやはりマイナンバーカードの普及と、これに口座を含む個人情報を統括して一元管理することだと思われた。そこで政府は、マイナポイントなどのインセティブを付け、健康保険証と一体化するなど普及策を採っていた。しかし、このようなトラブルが報じられると「本当に大丈夫か」との声が上がるのは当然である。
住民基本台帳の導入から現在まで、歴代政権はマイナンバー(&カード)の普及に腐心してきた。その結果ここまできたのだが、一部メディアや野党の追及も政府の答弁も、カードをどう守るか、ナンバーをどう守るかに拘泥しているような気がする。
ことの本質は、デジタル時代になって「サイバー空間で私が私であることの証明をどうするか」である。リアル空間で「私が梶浦敏範である」ことを証明する手段は、場面によって違うがいくつかある。
・出入国の時はパスポート
・重要な職務に就くなどのときは印鑑証明
・日常の買い物などでは、電子マネーやクレジットカード
これがサイバー空間ではどうするのかが課題である。ID/パスワード、クレジットカード、指紋等の生体認証等々の手段があるが、公的なものはあまりない。その一番有力なものが、マイナンバーカードの中に入っている電子証明書である。これがあれば、リアル空間での印鑑証明などに替えられるのが、目指すところ。
現時点でマイナンバーカードには、署名用電子証明書と利用者証明用電子証明書の2種類が格納されている。これらに加えてより厳密な生体認証情報や、万一カードを紛失した時のためのリカバリー手段を整備して「サイバー空間で私が梶浦敏範である」ことを証明するツールにすべきである。
厳しく言えば「サイバー空間での私であることの証明」なしには、電子自治体・政府など運営できないはず。政府には、この点の丁寧な説明をメディアや市民に対して行っていただきたいと思う。