日本の鉄道技術は世界一・・・いや少なくとも世界有数である。「弾丸列車」の異名をとった東海道新幹線の開業は、1964年。それ以降日本各地に延伸していきながら、飛び込み自殺などの例を除いて死亡事故はほとんどない。かの東日本大震災でも、脱線しただけでクラッシュには至らなかった。
そんな日本の鉄道技術(&製品)を輸出しようというのは当たり前。通産省時代から経産省も後押しをしてくれ、ODAをからめてもアジア圏に道を拓いた。当時は「オールジャパン」体制といわれていたが、今は「コアジャパン」だとこの記事が紹介している。
鉄道輸出「オールジャパン戦略」の時代は終わった 重要部分に日本の技術導入「コアジャパン」へ | 海外 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)
鉄道技術の海外展開は、アジアに留まらない。しかも単純な輸出ではなく、現地企業を傘下に収めたり合弁するなどして、鉄道事業そのものに乗り出して行ったケースもある。上記の記事にいう「コア」とは、日本企業の特に優れた部分を言い、これをキーに現地や他の企業の(より安く作る)技術を加えるという意味だ。
しかし私のような「デジタル屋」からすれば、本当の「コア」とはリアルタイムのデジタルデータを(日本に)持ち帰り、製品の改良はもちろん、運営の改善や鉄道事業そのものの構造改革(*1)ができる基盤を整えることだ。昨今の国際情勢からは、鉄道運行データも産業政策だけでなく、重要インフラのリスク管理にも影響してきている。
"Connected Train" のリスク - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)
で紹介したように、すでに10年以上前から鉄道車両のデータを取得することは進んでいた。米国首都ワシントンDCの地下鉄車両を、中国企業を退けて日本企業が受注できたのは、安全保障の意味でも必然と言えた。モノ作り技術を軽視するわけではないが、モノが産み出すデータもそれ以上に重要な「コア」である。
*1:このような改革を、私はDXと呼ぶ