梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

裁判員制度15年、見直し要では?

 日本の裁判に一般市民の感覚を入れる、市民の法曹界への参画を進める・・・などの目的が掲げられた裁判員制度の導入から15年が経った。2022年6月時点で、裁判実施件数は1.5万件を、裁判員を務めた人は9万人を越えたという。しかし辞退率が7割近いなど、課題も指摘されている。辞退の理由としては、

 

・仕事や家庭の都合

・健康上の問題

・プライバシーの懸念

・法律知識の不足

 

 が多いという。やはり3番目のものが問題で、ある事件で裁判員を務めた人はSNS等で批判されて辛い思いをした(*1)という。

 

    

 

「いまの裁判員裁判にトキメキはあるか」「地域の声を保証」 制度施行15年シンポ相次ぐ - 産経ニュース (sankei.com)

 

 の記事の最後に、裁判員メンタルヘルスケアのためにいくつかの提案があるが、この程度では裁判員の「中立」は保てないと思う。そもそも裁判員に圧力をかけることは立派な犯罪だから、それがリアル空間(での脅迫や強要)であろうがサイバー空間であろうが度が過ぎたものは摘発すべきだ。

 

 それとは別に、裁判員に死刑の可能性もある重大事件を担当させるという、今の考え方に問題があるのではなかろうか?まず間違いなく二審はあるだろうが、それでも一般市民に死刑判決をさせるというのは(SNS等の圧力が無くても)大きな負担。

 

1)米国のように裁判員は有罪/無罪だけを決め、裁判官が量刑を決める

2)重大事件はプロ裁判官に委ね、量刑が軽目の事件を裁判員に担当させる

 

 などの見直しが必要だと思う。いずれやってくる安倍元総理殺害事件の裁判など、裁判員の負荷は途方もないものになる(*2)だろうから。

 

*1:「食欲なくなり、涙出た」裁判員裁判の制度から15年 判決後のSNS上の誹謗中傷、命の重みへの苦悩… - イザ! (iza.ne.jp)

*2:元総理暗殺事件の裁判員裁判 - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)