太平洋に今も残るフランス領ニューカレドニア。大航海時代の遺物のようなものだが、30年間は平穏だった。しかし今年になって1.7万キロ離れたフランス議会で「ニューカレドニア憲法を改正し、フランス人住民の投票権を拡大」する法案が審議されている。これに反発した独立派で先住民族カナクの人たちと、フランス人住民の対立が高まり暴動に発展し、死者も出てしまった(*1)。
フランス政府は非常事態を宣言、フランス軍を派遣するとともに、中国の動画サイト<TikTok>を遮断した。外国(*2)が暴動に関与しているとも非難している。<TikTok>の危険性については再三述べて(*3)きたが、紛争の状況を拡散されて暴動が広範囲に(場合によってはフランス本土に)も広がることを懸念したものと思われる。
SNSによって暴動(控えめに言って運動)が拡散することは確かだ。「アラブの春」のころには、Facebook・Twitterと並んでYouTubeが情報を発信していた。文字よりも動画のインパクトが大きいのは間違いがないが、今回フランス政府が<TikTok>以外の動画SNSについて禁止たとの情報はない。やはり<TikTok>が、外国勢力から操作を受けているとの疑惑を持っているのだろう。
ニューカレドニア暴動受け、仏政府がTikTok禁止 扇動を阻止 外国の干渉への懸念も - 産経ニュース (sankei.com)
フランスでも、非常事態宣言があったとしても通信の遮断は違憲だとする議論がある。日本での憲法論議で非常事態が論点となっているようだが、このような事態に対処するにはどうすればいいか、与野党そろったOpenな議論を望みたい。
+1:ニューカレドニア、暴動で非常事態宣言 改憲案のフランス議会採決に抗議 - CNN.co.jp
*2:なぜか中国と並んで、アゼルバイジャンの名前も挙がっている