EV、太陽光パネル、蓄電池と中国政府が助成制度をフル活用して量産できるようにした製品群が、市場でダブついている。国内市場が冷え込んでいることもあって、これらが海外に「ツナミ」のように流れ出して、欧米各国の産業界に悲鳴を挙げさせている。それとは別に、中国系のECサイトも恐るべき安値を武器に、欧米市場を席巻し始めている。
「TEMU」は、本当に安い。9割引き(!)の商品がザラにある上に、PCにもスマホにも動画広告を流し続けてくる。多少なりとも欲しいものがあれば、興味を惹かれない方がおかしいくらいだ。ただこのサイトは粗悪品も多いようで、警戒するべきと言われている。また購買履歴やクレカ番号など、個人情報の扱いにも懸念が残る。
一般ユーザに対して「議員に向けて行動を起こすように」要求(*1)した「TikTok」ほどではないにせよ、中国政府の息がかかったサイトについては要注意だ。
しかし「TEMU」が、中国発を隠して米国市場で急伸しているとの記事があった。
中国発の激安EC「Temu」、アメリカの利用者1年で5倍に 非中国装う - 日本経済新聞 (nikkei.com)
昨年アイルランドに本社を移すなど種々の工作をしたので、消費者の警戒感が薄れたようだ。また政府も(トランプ候補も)目立った非難をしていない。中国ECサイトの「ステルス作戦」は、ほかにもある。衣料品中心で「TEMU」の先輩格である安売りECサイト「SHEIN」は、すでにシンガポールに本社を移していたが、今回ロンドン市場に上場を申請した(*2)という。
本社がどこでも、どの市場に上場していようと、データを保管しているサーバがどこにあろうと、中国資本がメジャーならば中国企業である。上記の記事にあるように、中国人経営者であることを理由に何かはできないが、中国企業であるならば「国家情報法」で中国政府はデータの徴求ができる。
これらのサイト、「安かろう悪かろう」以上に「怖かろう」ではないかと思う。