前橋市を中心にこの「めぶくID」を運営している会社によると、このシステムは「IDA:IDeal Architecture」と名付けられ、利用者にとって安全・安心な運営に万全を期している。どんなアプリがあるかと聞くと、
・前橋市の市民ポータル
・アレルギー管理(給食や飲食店連携)
・地域通貨(めぶくPay*1)
などがあり、前橋市以外でも、
・避難者管理(北陸地方某市)
でプラットフォームとして利用されているという。地域でボランティアを募集したり、何かを共有したり手伝ってもらえる人を探すのに「めぶくID」を持った顔の見える人だけのコミュニティは安心できるわけだ。
物理的な「地域」を超え、ある共通体験を持つ人、例の少ない病気を治療している人、共通の悩みを抱える人がコミュニティを作ることもできると、運営会社の人は言う。コミュニティの信頼を守るために、社内に外部有識者が中心の「データガバナンス委員会」を設けて活発な議論をしてもらっている由。
その委員長を引き受けている経営学の教授は、
・データは他者が使って利益を得る「利他」の傾向が強い
・データ提供者へのインセンティブをどうするか(*2)がずっと課題だった
・直接的なインセンティブでなく「共助についての自分事化」がポイントではないか
と語る。2年以上前、立ち上がったばかりの「デジタル庁」での「デジタル社会構想会議」の提言を紹介した(*3)こともあるが、この時の構想がようやく形となってきた。地域の安心できるデジタルコミュニティづくりに資する「めぶくID」と、それを取得するために必要なマイナンバーカード。
健康保険証のマイナンバーカード一体化のような強引な手法ではなく、このように市民がメリットを感じるスキームを提案して、その要件にカードを置く。これが正統なカード普及策だと考える。
*1:めぶくPay 公式ページ(めぶくアプリ) (mebukupay.com)
*2:例えば情報銀行はデータ提供者に「配当」を渡そうとしたが難航している