後進国は、先進国が苦労して(時間をかけて)発展させてきた技術を、さまざまなハードルはあるにせよ導入し、安価な労働力を投入して世界経済の中では優位を得る。これが「後進優位」という考え方。現在の米国に迫るGDPを得た中国経済は、その典型的な例である。しかし、中国の経済学者が、逆に「後進劣位」との考え方を持っていたとこの記事は言う。
中国経済に忍び寄る「のろい」とは 伝説の学者が残した警鐘(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
確かに技術導入は開拓よりは簡単なのだが、同時に経済を安定させるための政治体制・社会環境をつくる時間がなく、やがて国家の利己的な行動で民間経済も歪められるというもの。確かに、今の中国経済はそのような状況にあると思う。私がこの記事を見て感じたのは、
・昔日本も「後進優位」で軍事、経済では半世紀で一流国になった
・しかし、英国のようにマグナカルタ以降数百年かけた政治体制の整備はできなかった
大正デモクラシーでも社会の改革はできず、結局は軍部の台頭を招いた。その結果WWⅡで大敗し、現行憲法などの社会改革が行われ現在に至る。ただ今の中国は、当時の日本よりずっと世界における存在感が大きい。かの国が体制変更のための大乱を(意識せずにでも)求めれば、世界の破滅をもたらすかもしれない。
「後発劣位」の考え方には賛同できるものの、現在の「先進国」の政治・社会の混乱ぶりを見ると、この考え方の「優位」も限界があるような気がしてきた。先発していった欧米各国の政治・社会体制も、ここにきて失速中。それを考えると、後発だからと言って、あきらめる必要はなさそうだ。
日本の社会閉塞や政治混乱は、各国のそれよりずっと軽いレベルだと思う。「先発優位」の各国を学び、混乱を回避するような政治・社会体制を構築していくことを、日本はできるかもしれない。その後、中国がそれをまねてくれればいいとも思う・・・無理かな?