先週、恒例の経団連夏季フォーラムが開催された。2040年の経済・社会ビジョンを策定しようとの議論が行われたと報道されている。
税負担も逃げずに議論を 経団連が夏季会合 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
「フューチャーデザイン2040」と題して、持続可能で公平・公正な社会の実現が目標。来春公表されるという。少子高齢化、人口減少、資源を持たない島国であることを前提に、政策の柱が6本。
・全世代型社会保障
・環境、エネルギー政策
・地域経済社会
・イノベーションを通じた新たな価値の創出
・経済外交
・教育、労働
が揚げられていて、実現のための税負担論議からも逃げないなどとの意見が出たとある。以上の点について異論はないのだが、何か大きなものが欠けていると感じた。それは、6つの政策を実行していくための「政治家の育成」。

先年亡くなった前経団連会長中西氏は、エネルギー政策とデジタル政策に危機感を持ち「いずれも政治家の覚悟が足りない」と仰っていた。具体的には、
・エネルギー政策 原子力利用に関して、市民への説明ができていない
・デジタル政策 マイナンバー活用について、同
ということである。私自身政策提言の中で、マイナンバーカードではなくマイナンバーと電子証明書の利用について、あるべき方向を述べている(*1)。何人かの政治家には理解してもらったものの、現実には強引なマイナンバーカードの普及策で市民の反発を招いている。これは政治家が真摯に市民に向き合い、説明・説得する勇気を持たなかったからだ。
ある年金制度の識者は「政治の貧困が年金混乱をもたらした。どうすべきか分かっているのに、真実を語ることができない」と言っていた。何かにつけ、政治家が市民に向き合えないのでは、社会は衰退する一方だ。
経団連も中期ビジョンというなら、少子化などと並んで暗黙の前提となっている「政治の貧困」を改善することを、6本の柱すべてに共通する課題として議論して欲しい。