ようやく日銀が政策金利上げを発表し、米国FRBが次回金利下げを匂わせる現状維持をし、英国が利下げに踏み切ったことで、円安が反転した。その結果、史上最高値を付けていた日経平均株価が大きく下げた。古い経済論だが、製造業中心の輸出産業が不利になるとの判断で株が売られたからだと思われる。
政府が株式投資を勧める施策「新NISA」に乗った投資初心者からは「政府に裏切られた」と感じた人もいたようだし、自民党大物議員が「金利上げ」を求めたことに対する恨み節(*1)もある。これでは「政策金利」ならぬ「政治金利」ではないかと、日銀の独立性に対する疑問もあるやに聞く。ただ私は、以前から、
・金利は経済の鼓動、ゼロはよろしくない
・円安誘導は日本人の資産を減らすので、よくない施策
・製造業中心輸出産業の時代ではない
と申し上げてきた。特に2点目について、実績を考えてみたい。
◇ドル円レート 7/2 161.4 8/2 146.6 日本円は約10%強くなった
◆日経平均 7/2 40,075円 8/2 35,910円 約10%の下落
ある日本人資産家を想定してみた。全て日本円の金融資産1億円、うち5,000万円が日経平均に参加している企業の株式、残りは預貯金。
・株式5,000万円は目減りして、4,500万円になった(配当金は考慮していない)
・預貯金はそのまま(金利上昇は考慮していない)
・合計資産は9,500万円なのだが、ドルベースだと約64.8万ドル
・7/2時点では、ドルベース資産は約62.0万ドル
しっかり増えていた。さらにマンション等の非金融資産もドルベースで1割上がっている。やはり、金利の適正化と円安是正は日本人の資産形成に寄与すると確信した。
*1:東京株式市場の大幅続落に投資家が悲鳴! SNS上で名指し《植田ショックを招いた3悪人》の名前(日刊ゲンダイDIGITAL) - Yahoo!ニュース