業界の大先輩から「日本半導体物語~パイオニアの証言」という新刊書を送っていただいた。あしかけ70年の半導体開発史(*1)である。
・ラジオを小型化したトランジスタ
・電卓を小型化、低価格化したLSI
・コンピュータを机上に置いたマイコン
などの例が示されていた。著者には「一国の盛衰は半導体にあり」という著書もある。経済安全保障で見直されている半導体産業の重要性を、逆風の時代も含めて説き続けてこられた。
半導体製造装置などの川上産業から、中流域の半導体産業、さらにアプリケーションという川下産業までセットにした産業政策が必要だとある。日本政府は、DRAM製造のマイクロン(*2)やファウンドリーのTSMCを誘致して「半導体産業復活」と言っているが、それには違和感がある。

日本の企業は「How to Make」には長けていて、メモリという単機能チップについては世界を席巻できた。しかし「What to Make」では、PC~PDA~スマホの時代を先取りした米国企業に敵わなかった。もちろん<日米半導体協定>のような圧力はあったにせよ、アプリケーションを含む「先」が見えず、経営が迷走してボラティリティを高めたのが衰退の原因(*3)である。
本当の「復活」を目指すなら、川上産業が強みを残しているうちに、中流域の工場誘致の資金が続くうちに、川下産業の強化(&イノベーション)をしなくてはならない。この書に、次のアプリ(半導体適用分野)は、自動運転車・会話できるロボット・ドローンなどとある。
我々は、この提案をより具体的に「What to Make」として考え抜くことである。その上で、どんな販路・製造技術・必要素材などをどうするかに落とし込んでゆくべきだ。若い政策研究者、事業家、技術者にはそれを望みたい。
*1:経済安保で注目される今こそ - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)