WWⅡ以降、米国が特にSIGINTの能力を急速に伸ばして諜報力を高めていった。それ以前は英国が他の追随を許さない諜報力を持ち、現在でもHUMINTの世界では米国をしのぐ実力を持っている。今年初めに英国の諸機関を巡り(*1)その実力を肌で感じてきた。一方、大陸で諜報力を磨いていたのがロシア。勧める人があって読んでみたこの書に、その100年史が記されていた。
チェキストたちの100年史 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)
レーニン体制下、ジェルジェンスキーによって創設されたチェーカーという諜報組織は、後にKGBと名を変えスターリン独裁体制を支え、スターリン以後もソ連崩壊をも乗り越えて、今も生きている。その主目的は国内の体制維持なのだが、もちろん対外諜報も行っている。
かつてのプーチン大佐のような正規職員以外にも、エージェントと呼ばれる協力者がいて、国内人口の0.1%はエージェントだったこともある。さらにその外郭に、意識してか否かは別にして、諜報や工作に協力してくれる「信頼できる者」という人たちがいる。何度か破産しながらオリガルヒなどの資金で復活したとのうわさもある実業家トランプ氏は、その一人である可能性が指摘されている(*2)。
まだロシアがG8メンバーだったころ、私は国際会議の後のパーティでロシア大使館の二等書記官という男と知り合った。赴任したばかりで日本語は不自由だったが、英語で意思は通じたし、なにより愛想のいい男だった。何度も食事しようと誘ってくるので、当時の上司(経産省OB、外務省歴多)に聞くと「間違いなくKGBだな」と、距離の置き方を教えてくれた。危うく「信頼・・・」にされるところだった。
日本の論客にも、ひどくロシア擁護の発言をする人たちもいる。その中の何人かは「信頼・・・」だろうし、目立たず潜んでいる者もいるだろう。リアル空間でも、用心に越したことはない。