梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

堺屋思想に立ち返って欲しい

 日本維新の会の代表選挙が終わり、予想通り吉村洋文大阪府知事が代表に決まった。先の総選挙では、与党過半数割れは達成したものの、自ら議席を減らしてしまった。「第二自民党でいい」などと、与党に近すぎる姿勢が嫌われたのかもしれない。

 

 大阪維新の会に発する同党の歴史は、塩田潮著「解剖日本維新の会*1」に詳しい。停滞していた大阪経済の復活に向け、行財政改革を地方から実践するという「堺屋思想」に基づき、政策の浅田均、求心力の松井一郎、発信力の橋下徹のトリオが力を発揮したとある。

 

 2010年代に、身を切る改革を断行し、議員定数削減や施設の統廃合を進めた結果、

 

企業収益、雇用、年収、健康、学力、犯罪などほとんどの指標が好転

どん底だった数値(生活保護対象者、平均寿命、学力)も全国平均近くに改善

・犯罪数は半減、府と市の財政も依然苦しいものの改善

 

 という(*2)。

 

    

 

 急速な改革だったからか、施設を統廃合して住民サービスを低下させ、これを経済成長に見せかけたとの批判(*3)もある。しかし多くの市民はこれを改善と受け止め、同党は大阪中心に近畿エリアでは圧倒的な支持を集めている。

 

 しかし2度の「大阪都構想住民投票」に敗れ、トリオのうち2人は引退している。吉村新代表と、共同代表である前原元国交相には、堺屋思想に立ち返っての全国進出を果たしてほしい。中央政界は、与党も野党もばら撒きばかり。大阪で成功した「身を切る改革」を全国で実施できるのは、維新の会以外に見当たらない。

 

 堺屋先生は最後の小説「団塊の後*4」で、日本全体でのあるべき行財政改革について、

 

道州制の導入

大阪都と東京都の二極体制

・税源含めた地方への権限移譲

国保有資産の地方への売却で、政府債務を地方債務に移行

 

 を示しておられる。これからの日本で生きていく若者のため、維新の会には尽力していただきたいと願う。

 

*1:地域の改革政党から中央へ - 新城彰の本棚

*2:数字でみる大都市「大阪」の復活ーー橋下改革から10年の成果(上山信一) - エキスパート - Yahoo!ニュース

*3:無意味な競争・・・なのでしょうか? - 新城彰の本棚

*4:あるべき&ありたき日本2026 - 新城彰の本棚