トランプ人事は自らへの忠誠心が評価基準だと、米国政治の専門家が述べている。そうなると忠誠心を誇示するあまり、競合相手を誣告し合うことになるのではないか(*1)と思う。その結果、政権が空中分解しかねないと危惧する次第だ。
誣告されやすいのは、一番目立つ人物。例えばもうこんなことが囁かれている。
トランプ氏元側近がマスク氏を「本物の悪党」 外国人材巡り内紛 | 毎日新聞
バノン氏はトランプ1.0時代の実力者だが、今はさほど影響力はない。それでも目立つ男イーロン・マスク氏には、このように歯向かうヤカラが続出しそうな気がする。すでに欧州各国に内政干渉まがいのことを言っていて、これに反発したドイツの多数の大学・研究機関が<X>の利用を止めたし、欧州の年金基金が<テスラ社>の株式を売り払ったと伝えられる。

一方中国のバイトダンスが運営するSNS<TikTok>については、米国内での禁止が現実味を帯びてきた。危険な情報プラットフォームになり、民主主義が脅かされかねないとの判断(*2)である。禁止を回避するためには米国企業に売却することが条件だが、案の定マスク氏の名前が挙がってきた。
中国、TikTok米事業のマスク氏への売却検討か-Xが経営権取得も - Bloomberg
<TikTok>が<X>の一機能になることが想定されるが、いまや<X>も相当危険な情報プラットフォームである。事実上トランプメディアと化していて、反トランプ・反マスクの言説はプライオリティを下げられてしまうのではと危惧される。
<TikTok>も多くのユーザを抱えた影響力あるSNSだし、何より目に見えるという強みがある。AIで生成した動画を検閲することもあるが、マスク氏がそれを容認しなければ(偽)AI動画も大手を振ってまかり通る。
<TikTok>をこのままバイトダンスに運営させるべきか?マスク氏に委ねるべきか?どちらが真の民主主義の敵なのかは、判断できない。