梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

世界の10大リスク2025(ユーラシアG)

 今年も「世界の10大リスク」が公表されている。恒例のイアン・ブレマー氏<ユーラシアグループ>のものだが、昨年はこうなっていた(*1)。

 

1位 米国の分断

2位 瀬戸際の中東

3位 ウクライナの事実上の割譲

4位 AIのガバナンスの欠如

5位 ならず者国家の枢軸

6位 経済回復できない中国

7位 重要鉱物の争奪

8位 インフレの足かせ

9位 エルニーニョ再来

10位 米国でのリスキーなビジネス

 

 これに対して、今年は、

 

1位 深まるGゼロ世界の混迷

2位 トランプの世界(政治リスク)

3位 米中決裂

4位 トランプノミクス(経済リスク)

5位 ならず者国家のままのロシア

6位 追い詰められたイラン

7位 世界経済への負の押し付け

8位 制御不能なAI

9位 統治なき領域の拡大

10位 アメリカとメキシコの対立

 

 だという(*2)。

 

    

 

 気候変動リスクは、雲散霧消してしまった。デジタル系のリスクだけを取り上げると、

 

◆2021年

5位 国際的なデータ規制強化

6位 サイバー紛争の激化

 

◆2022年

2位 GAFAら巨大IT企業の支配

 

◆2023年

2位 人工知能(AI)

 

 と変遷している。かつては有益なデータ活用を阻んだり、ビッグテックのデータを通じた支配などがリスクと考えられていたが、いまはそれらはAIに集約されてきている。データがAI発展の源泉だから、入り口のリスクは過ぎ去りAIという出口のリスクが顕在化しているということだろう。

 

 その「暴走AIリスク」も、昨年の4位から8位に順位を下げた。デジタル~データ~AIはすべての紛争に包摂されてしまい、それらの技術を使う悪者自身に焦点があたってきたのだろう。

 

 それにしても「今年の人」は間違いなくトランプ大統領、2位と4位に直接登場するほか、1位・3位や7位以下にも大きく影響する。要するに、世界の最大リスク要因は彼個人だということ。

 

*1:世界の10大リスク2024(ユーラシアG) - 梶浦敏範【公式】ブログ

*2:2025年10大リスクは「Gゼロ」「トランプの支配」「AI」など ブレマー氏調査会社ユーラシア・グループ発表 | NHK | アメリカ