今月、公正取引委員会とビッグテックに関する記事が2つあった。
公正取引委員会、巨大ITにアプリ利用データ「パクリ」禁止 - 日本経済新聞
公取委「チーフテクノロジスト」民間採用へ…対巨大IT人材、事務次官並み報酬に(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース
前者は、プラットフォーマーの基本ソフトウェア上でアプリを運用していることから、アプリに関するデータをプラットフォーマー側も見ることができ、これを悪用することを規制したいというもの。具体的には、流行アプリに類したものを開発するのに当該データを使ってはいけないというものだ。
ただどのデータをどういう具合に使えば規制対象となるのかなど、詳細部分はなかなか難しい。SNS等のアプリで流れるデータでよろしくないもの(*1)を検知したいこともあるから「絶対に見るな」とは言えない。

そのあたりはビッグテックの内情にも詳しい人物の協力が要るので、後者の記事となったのだろう。単なる技術者ではなく、ビジネスの知見もあり、デジタル社会を俯瞰できる人材を求めている。
ただ公正取引委員会そのもののデジタルリテラシー不足が、数名幹部職員を雇っただけで治るものでもあるまい。米国で公正取引委員会に相当する機関としてFTCがある。バイデン政権でアンチビッグテック論者のカーン氏が委員長になったが、訴訟は負け続けて「税金の無駄遣い」と酷評されている。
FTCカーン氏の巨大IT叩き(後編) - 梶浦敏範【公式】ブログ
この時も指摘したことだが、サイバー空間は普通の人が思っているよりずっと広い。ビッグテックと言えども、その一部を市場にしているに過ぎないのだ。それなのにFTCも公正取引委員会も、対象企業の市場を局所化して独占禁止法などを充てようとする。間違いの根源はここにある。
そもそも「公正取引員会は市場の局所化が得意だから気を付けろ」と、かつて経団連の幹部だった人が私に教えてくれた。同委員会には、まずその認識を改めることから始めて欲しい。
*1:「闇バイト」のような犯罪教唆や、武器や麻薬の取引に関するコミュニケーション