梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

当然とはいえ素早い反応

 先週に引き続き「DeepSeek」の話題。早速米国側からいくつもの反応が起きている。

 

1)既存のAIを盗用したものではないかとの疑惑

DeepSeekがデータ不正利用か OpenAIとMicrosoft調査 - 日本経済新聞

 この記事では、データが不正利用されたとあるが、もっと進めて考えるとモデルそのものを盗まれた可能性(*1)もある。

 

2)利用禁止の皮切りは米海軍

米海軍、中国DeepSeekのAIを利用禁止に--「安全、倫理上の懸念」から - CNET Japan

 入力したすべてが中国に筒抜けなのだから、絶対に使ってはいけない。それでも私用でちょっと使ってみる・・・軍人もいるだろう。もちろん、他の政府機関や主要企業も、これに倣うだろう。 

 

真珠湾アリゾナ記念館と戦艦「ミズーリ

 ちなみに、イタリアなどではダウンロード禁止の措置が採られているという。個人情報保護に懸念があるという理由。

 

3)さっそく「ジェイルブレイク」してみたらできちゃった

DeepSeekのジェイルブレークにセキュリティー企業が成功、「ChatGPTより脆弱」 | 日経クロステック(xTECH)

 プロンプトを工夫して、本来答えてはいけないことを回答させるのが「ジェイルブレイク」。毛沢東について聞くと回答を拒否するのに、マネーロンダリングのやり方は教えてくれている。そのあたりのセキュリティは甘いようだ。

 

 この他、中国によると米国から多数のサイバー攻撃があって「DeepSeek」は現在アプリ登録を制限しているともいう。この意味でもセキュリティは甘かったのかもしれない。

 

 ただやはり無料だったり破格の値段で提供されたりするので、何らかの形では普及していくだろう。1)の調査で窃取の証拠が挙がったとしても、すぐに差し止めなどできまい。心配なのは3)で、その種の悪用者がこれまでとはケタ違いに排出されそうだ。マネロン・武器自製・ドラッグ作り・偽映像等々、サイバー空間だけでなくリアル空間の安全も脅かしそうな「DeepSeek」というわけだ。

 

*1:Google社のシンポジウム - 梶浦敏範【公式】ブログ