20年ほど前のことになるが、金融業界のデジタル規制緩和のお願いをしていて、当時の金融担当大臣と安全保障の話になったことがある。冷戦が終わり、核大国ロシアの脅威が減り、中国の台頭もまださほど深刻ではなかったころだ。日本経済はバブル崩壊の痛手から徐々に立ち直ろうとしていて、ここでWWⅢのような大変事が起きるとは、誰も考えていなかった。
とにかく不良債権処理を迅速にして、日本経済を高揚させたい。そのためには動けなくなっている日本の金融機関の規制緩和だというのが、我々産業界の主張だった。重めの議論が終わり、ランチを採りながらの雑談で、日本の安全保障が米国に頼りすぎてはいないかの(オフレコ)話になった。

金融危機になったとはいえ、日本の在外金融資産は十分にありリターンを産んでいる。これが抑止力だとの意見もあったが、私は「ミステリーでは貧困層が殺されるより、金貸しが殺される例が多い」と述べ、貸しているからこそ狙われやすいと警告した。その時は笑い話で終わったのだが、今回この記事を見てその話を思い出した。
財務省「国は赤字」と危機感を煽るが…「国の家計簿」を検証したら見えてきた、ニッポンの本当の台所事情【経済評論家が解説】(THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン)) - Yahoo!ニュース
日本経済も製造業中心の輸出型から変貌しつつあって、モノの輸出入は±0、サービスの輸出入もインバウンド景気で±0、所得収支が大幅黒字だとある。メディアはモノ輸出で稼げない、デジタル赤字がひどい(*1)などと囃し立てるが、実態はこういうこと。日本もすでに金融経済国家になっているのだ。
問題はこの国際情勢不安定な時に「金貸し国家」だと、20年前の危惧がより顕著になっているのではないかということ。所得収支の中身を見ないと確たることは言えないのだが、借りている側にもメリットのある、知恵やサービス込みでの貸し付けなら、リスクは低い。ただ倫理も哲学もないナマの「カネ」だけ貸しているのなら、日本を焼け野原にして借金を踏み倒そうというヤカラが出てきてもおかしくない。
日本経済の実態はどうなのか?経済安全保障の議論の中でも、このような点を論じて対策を採っていって欲しいの政府には願うのだが・・・。