梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

データを消去する「最悪の攻撃」

 一昨日に引き続いて、イーロン・マスク氏(&DOGE)の暴挙の話。紹介したのは、正式なセキュリティ・クリアランス(SC)資格を持たないDOGEメンバーが、機密にアクセスしているという懸念があるというものだった。これを<Forbes誌>の記者は「サイバーセキュリティの問題だ」として、サイバー攻撃を喰らって情報漏えいしたのに等しいと非難していた。ところが、そんな可愛いものでない懸念も出てきた。

 

トランプ政権から知識を守れ、科学者は徹夜でデータの引っ越し急ぐ - Bloomberg

 

 この記事では疾病対策センター(CDC)を整理する案があり、データを消されそうになった教授がバックアップに汗をかいたとしている。同じようなリスクは、他の政府機関にもあるのだ。デジタル社会ならずとも、社会にとって必要なデータは多い。人類は、口伝・書物・耐久性のあるモノなどで、文明を後世に伝えてきた。何千年ものデータの蓄積が、今の繁栄をもたらしたのは間違いがない。

 

ローマの遺跡

 それなのに過去のデータを消し去るというのは、人類の歴史に対する暴挙である。例えばCDCのデータは、次のパンデミックの対策やそもそもパンデミックを起こさせないために使えるはず。そのように貴重なものを消去してしまうとは・・・。<Forbes誌>の記者に倣って言えば、今回はサイバー攻撃の中でも最もタチの悪い「Wiper(永久にデータを復元できなくする)攻撃」に相当するものだ。

 

 ロシアのウクライナ侵攻に先立ち、ウクライナ政府は米国ビッグテックらの力を借りて電子政府を「疎開」させた。それがプーチン大統領の「1週間で親露政権へ移行」との目論見を打ち破っている。今や米国政府自身が「疎開」しなくてはいけないらしい。本当にDOGEがそのようなことを企むなら、ビッグテックは「疎開」に協力して欲しいし、日本企業も名乗りを挙げて世界を救うバックアップに尽力して欲しいと思う。