梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

シビリアンコントロールの名の下に

 先週国会の予算委員会で、奇妙なもめ事があった。今国会の特徴である「省庁別審査」の防衛省関連の議論で、国民民主党の橋本衆院議員(埼玉13区)が制服組の答弁を求めたのだ。これに対して安住委員長は、シビリアンコントロール文民統制)を理由に要求を退けたが、橋本議員はなおも食い下がり、最終的に党からも厳重注意を受けた。

 

 橋本議員は「国会における自衛隊の議論は常に机上の空論だった。真の国防とは何なのかを議論したい」と主張しているが、このことは一般市民にはわかりにくい。国会は(国民民主党古川代表代行も含めて)制服組が国会で答弁することは、

 

・前例がない

・慣例でない

与野党で合意した答弁対象者でない

 

 などの理由で、今後も認めない方針である。前例?慣例?合意?これって何なのだろうか。

 

    

 

 実は防衛省自衛隊は別組織で、ある意味「水と油」の関係にある。次の2冊を読むと、それがよく分かる。

 

◇「防衛省に告ぐ*2」 制服組第36代自衛艦隊司令官 香田洋二氏著

 防衛省(背広組)は現場のことを何も分かっていない。防衛大綱を守ることが重要で、国を守ることはなおざり。日本の自衛隊は「文民統制」ではなく官僚による「文官統制」であると主張。

 

◆「防衛事務次官冷や汗日記*3」 背広組第31代防衛事務次官 黒江哲郎氏著

 防衛省の自己評価で「外務省などは有事の官庁」と述べ、防衛省は「平時の官庁」と評している。装備や兵器も法的根拠は説明できるが、実際使ったらどうなるか分からない。防衛省は、財務省・メディア・政治家らと現場の間で「うまく板挟みになり泳ぐ余地を探す」のが役割。

 

 米国の議会公聴会などでは、制服組が堂々と持論を述べているシーンが見られる。なぜ軍人が国会で答弁してはいけないのか?市民も含めて、国会はちゃんと議論して欲しいと思う。まさか、米軍がシビリアンコントロールされていないとおっしゃるので?

 

*1:制服組の国会答弁の是非が論点に、 衆院予算委員長「文民統制の重み」理由に容認せず - 産経ニュース

*2:日本の「Civilian Control」 - 新城彰の本棚

*3:シビリアンコントロールの37年 - 新城彰の本棚