梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

日本の「AI新法案」への反応

 予算審議ばかりが取りざたされている今国会だが、デジタル屋にとってはいくつも注目される新法や法改正が用意されている。そのうち大きなものの一つが「AI新法案」。すでにパブコメに掛けられていて、4,500件を越えるコメントが寄せられた。

 

「AI新法案」罰則盛り込まず…パブコメ4557件、寄せられた切実な声|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

 

 私自身は、日本でAI規制をかけるなら欧州のようなハードローではなく、ソフトローからが良い(*1)と思っている。急速に成長・拡大しているAI技術や市場に対して、現時点でハード規制をかけても全く追いつかないからだ。

 

 その意味で、現時点の法案に罰則規定がなく、悪質な事業者の企業名公表程度に収めているのはやむを得ないと思う。しかし、一般の人たちの反応はそうではなかった。

 

    

 

 コメントの93%にあたる4,217件が個人からのもので、総じて規制なり安全措置なりが不足だと言っている。罰則付き規制・データの開示義務付け・電子透かしの規制(義務付け?)・データ権利者の参画などである。これに対して団体法人からの340件では、調査や認証制度に対して過度にならないようにとの意見が目立つ。国際的な整合性やAIの定義をちゃんとしろとの意見もあった。

 

 整合性については、サイバー空間に国境がないことから当然のことだが、すでに欧州が「AI-ACT」で先行してしまっている以上、調整は容易ではない。また定義については、私は以前から「AIの規制や課税を考えるなら、定義が必要。そうでないとAIか否かで紛糾する」と主張して、

 

「AIの定義」をいまこそ(1) - 梶浦敏範【公式】ブログ

 

 から3日にわたり問題点や検討の方向性を述べていた。

 

 罰則付き規制を導入しようとすると、昨年来激しい議論になっている「個人情報保護法改正:課徴金問題」と同じことになるだろう。まずはこの記事にあるように「厳しい罰則を用いずとも、新しいテクノロジーを育て律するガバナンスを官民で造れるかという挑戦」からだと、私は考えている。

 

*1:AI規制はまずソフトローから - 梶浦敏範【公式】ブログ