梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

初任給3,000万円への道

 すでに死語となっている言葉「春闘」が、今年も始まっている。最大の争点は「物価高に負けない賃上げ」で、産業界・労働組合に政府までが肩入れして給与UPを目指している。そのこと自体に異論はないのだが、やはり皆で底上げしようというのでは無理がある。すでに「もうこれ以上賃上げできない」と小規模企業経営者や、商工会議所からは悲鳴が上がっている。平均賃金を上げたいなら、上げられるところから上げていくのが近道である。

 

 こういう主張をすると「新自由主義者だ!」と非難されるが、今回ばかりは聴いていただきたい。それは、このような記事を見つけたから。

 

世界では年収3000万円、日本だと700万円…エンジニア採用の現実。日本企業“国際化”の壁 | Business Insider Japan

 

イタリアB7でのデジタル討論

 人手不足は先進国共通の悩みだが、特にITエンジニア・セキュリティ専門家・AI技術者の不足は顕著だ。国際的な争奪戦が起きていると言ってもいい。円安でエネルギーや食糧を買い負けていると経済学の人たちは警鐘を鳴らすが、すでに(デジタル)人財の分野ではその影響が大きくなっているのだ。私が生きてきたデジタル業界では、本来国境のないサイバー空間が市場。当然要員もグローバル化してゆく。経営者も含めて、人材もグローバルに戦える人にならなければならない。

 

 日本企業がそのような人材を得られない理由は、年俸だけの問題ではない。彼/彼女らをうまく使える人材もまた少なく、組織体制が整っていないことが大きい。例えば優秀なセキュリティエンジニアをどう採用・育成するかについて、

 

・自由な環境、欲しがる環境を与えること

・チーム編成や社外交流を含めて孤立させないこと

 

 と言った(*2)経営者がいた。これはIT・AIも含めて、上記すべての人材育成の基本だろうと思う。先日大手金融機関のCISOと会ったが、つい最近やとわれたという米国人。セキュリティ業界で20年以上の実績があり、これを買われたというもの。彼女が伝統的な金融機関でどのように活躍してくれるか、その企業の文化にどう変化を与えるか注目している。

 

*1:サイバー分野の「Return to Technology」 - 梶浦敏範【公式】ブログ