梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

ブラックアウトと再エネ比率問題

 現地時間の28日昼間、スペインとポルトガルで大規模な停電(ブラックアウト)が発生した。スペインでは国家非常事態が宣言された。

 

・信号が消えて道路は大渋滞

・駅や空港には長蛇の列

・地下鉄構内は完全に暗黒

 

 となっている。約20時間後、ほぼ復旧したとは言うものの、未だ原因は分かっていない。

 

スペインとポルトガル、大規模停電から徐々に正常化-原因究明続く - Bloomberg

 

 オーストリアの作家マルク・エルスベルグ著「ブラックアウト*1」に描かれていたように、すわサイバー攻撃かと思った。しかし落ち着いてみると、再生可能エネルギーが増えたことによる電力網の不安定化が主原因ではないかと言われている。

 

 再生可能エネルギーはある程度コントロール可能な水力はともかく、太陽光/熱や風力などはまさに運任せ・風任せである。安定的な電源でないと電力網に負荷がかかる。想定を越えた急激な変化が起きると、壊れないように電力網自体を止めざるを得ない。

 

マドリード中央駅

 両国の電源構成を調べてみると、再エネ比率がとても高い。概数だが、

 

◇スペイン

 再エネ 50%

 火力 30%

 原子力 20%

 

ポルトガル

 再エネ 60%

 火力 30%

 輸入電力など 10%

 

 となっている。ちなみに再エネ比率の世界平均は、約32%である(*2)。ひるがえって日本の電源構成はどうなっているかというと、第6次エネルギー基本計画では、

 

■2022年度実績

 再エネ(水力含む) 21.7%

 火力 72.8%

 原子力 5.5%

 

■2023年度速報値

 再エネ(水力含む) 25.7%

 火力 66.6%

 原子力 7.7%

 

■2030年度目標

 再エネ(水力含む) 36~38%

 火力 41%

 原子力 20~22%

 

 だった。今年の第7次基本計画では、2040年度に再エネを最大電源とし、その比率を5割程度に高めるともいう(*3)。そうなれば、今回のスペインに近い状況になる。東西で50Hz/60Hzの周波数変換も十分にできない電力網で、今回のようなアクシデントに耐えられるのだろうか?

 

*1:圧倒的な1,000ページ(前編) - 新城彰の本棚 

*2:24年世界電源構成、再生可能エネが過去最高の32%=シンクタンク | ロイター

*3:第7次エネルギー基本計画を閣議決定 太陽光の比率を 23~29%程度に変更|SOLAR JOURNAL