梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

続々摘発されるスパイ行為

 「トランプ関税砲」の影響で世界経済がキリキリ舞いしているせいだが、安全保障系の国際報道が少なくなっている。ウクライナ紛争も、パレスチナ紛争も激化しているはずのに、どうしても報道量は下がってくる。

 

 そんな中、韓国と台湾で気になるニュースが重なってきた。

 

韓国で「嫌中」がすごいことになっている 相次ぐスパイ行為&デモ工作疑惑…“北朝鮮並み”の扱いに(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース

 

 まず韓国だが、大統領選挙で混迷している中で、中国系のスパイやサボタージュの摘発が増えている。空港などの重要施設が撮影されたり、軍人が情報を流していると記事にある。

 

台湾の政権中枢に中国スパイ浸透 機密文書提供の疑い、総統府元顧問ら5人摘発 - 産経ニュース

 

 続いて台湾では、昨年から軍関係者で中国に情報を流していたと思われるケースが数多く報道されていたが、政権中枢にもスパイがいたと摘発された。

 

台北松山駅

 急に中国の諜報活動が活発化したというよりは、従来からあったものが「見える化」されたと考えるほうが合理的だ。韓国のケースで、スマホから中国公安部の幹部の電話番号が出てきたとある。よほど諜報側がうかつだったのか、有罪にするための当局のでっち上げかは分からない。台湾のケースでは、国会議員秘書などは待遇が不十分で「転びやすい」のだが、重要な機密を知る可能性があることが分かる。

 これらの情勢から、いくつか教訓が得られる。

 

・韓国、台湾ともに、当局が何らかのSIGINTを使って防諜活動をしたらしいこと

・機密に触れる可能性のある人物は、しっかり防御したり監視する必要があること

 

 韓国や台湾で起きていることが、日本で起きていないとは考えにくい。しかし「摘発したぞ」との報道はほとんど見かけない。このままでいいのかは、誰が考えても明らかだろう。日本では、セキュリティ・クリアランス制度と能動的サイバー防御の法律が成立したり、成立間近である。ただ、

 

・前者は、政治家や政治家秘書などが除外されていること(*1)

・後者は、裁判所に近い権限を持つ第三者委員会の実効性が見えないこと(*2)

 

 が気になる。さて、隣国の事態を受けて実効性あるスパイ対策ができるのか、注目していきたい。

 

*1:大きな枠組みの議論を期待する - 梶浦敏範【公式】ブログ

*2:能動的サイバー防御法案衆議院通過 - 梶浦敏範【公式】ブログ