梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

LAWSの優劣が覇権を決める

 国連のグテーレス事務総長は、自律型致死性兵器(LAWS)規制に向けて来年までに協議体を設立するとしているが、LAWSは着実に実用化されつつある(*1)。関連ベンチャーも登場し、ユニコーンデカコーンの候補も顔を揃えつつある。今回米国テキサス州オースチンのスタートアップ企業「Saronic」が、新たな資金調達をしているとの記事があった。

 

「自動航行する軍用艦」を開発、米新興のサロニックが780億円調達へ | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 

 同社のCEOは「中国海軍の造船能力が、米海軍よりはるかに高く効率的であることへの懸念から、同社を立ち上げた」と述べている。これはフランスの歴史人口学者トッド教授が「米国の製造業は空洞化し、まともな兵器が作れない」と言っていること(*2)を裏付けているようにも思える。

 

    

 

 同社の開発している自律型水上艦艇(ASV)は3種類あるようだ。

 

・Spyglass 全長6フィート

・Cutlass 同14フィート

・Corsair 同24フィート

 

 全てが米海軍が保有する艦艇のサポート役として機能し、武器運搬や情報収集の任務にあたるよう設計されているという。ASV自身の武装については明示されていないが、<Corsair>を例にとると、

 

航続距離1,852km

ペイロード容量1,000ポンド

・最高速度35ノット以上

 

 の性能を持ち、他の兵器との相互運用性も高い。搭載スペースのハード的な柔軟性だけでなく、他のシステムとのソフト的結合も容易である。実績あるAIフレームワークを採用しており、通信が途絶したとしても自律的に作戦遂行ができる。製造上のスケーラビリティも確保され、現状でも年間数千隻を製造できるという。

 

 一方中国軍にも気になるニュースがあった。

 

中国海軍「異形の新型軍艦」は何者?強襲揚陸艦…のはずなのに“空母っぽい”装備? 考えられる理由とは | 乗りものニュース

 

 4万トン級の新型揚陸強襲艦「四川」が進水したが、空母に搭載されるカタバルトや着艦用ワイヤーが装備されているという。これは空中ドローンを運用するためだというのが、この記事の主張。水中も含めて、海の闘いはドローン(&LAWS)の優劣で決まる時代になったようだ。

 

*1:国連の懸念など、どこふく風 - 梶浦敏範【公式】ブログ

*2:中立な歴史人口学者として - 新城彰の本棚