トランプ大統領によれば、日米安全保障条約は「米国は日本を守らなくてはいけないが、日本は米国を守る必要のない片務条約」なのだそうだ。
・日本に多くの基地を置き
・地位協定という特権を持った上で
・思いやり予算まで受け取っている
米軍なのに、どちらが片務条約だと言いたくなるのは、日本人として当然だと思う。ある人は「未だに日本は占領下にある」というし、「米軍の核の傘のおかげで軽武装で経済発展が出来た」という人もいる。有利不利の見方はあるだろうが、日米同盟が極東の安定、日本の平和と経済発展に寄与してきたことは確かだ。
その同盟が揺らいでいる。一足早く米国への信頼を捨て、自らの核の傘を提供しようというマクロン大統領や、「長かった20世紀の終わり」と発言したドイツのシュタインマイヤー大統領の言動を見れば、米国がいないことを前提とした国防の時代になったことがわかる。

「いないこと」というのは、米国のソフトパワーが限りなく低下したということ。この言葉「ソフトパワー」の提唱者が、ハーバード大学名誉教授のジョセフ・ナイ氏である。知日派で知られ、民主党クリントン政権の時に国防次官補を務めた。そのナイ氏の訃報が先週伝えられた(*1)。
先月亡くなったリチャード・アーミテージ氏は、共和党ブッシュ政権で国務副長官を務めた人(*2)。「アーミテージ・ナイ報告書」は日米同盟の発展に明確な道筋をしめしたものだった。専門家向きでなくても、
という書「日米同盟vs.中国・北朝鮮」で、著者の春原(すのはら)剛氏と鼎談し、分かりやすく東アジアの安全保障を解説している。私も2021年に亡くなった春原氏(*3)を通じて、これらの問題を勉強させてもらった一人である。
日米同盟の進化や近代化に尽力した2人の重鎮がほぼ同時に亡くなったのは、日米同盟の終焉を予言するものだったと、後世の歴史家が語るようにならないと祈りたいのだが・・・。
*1:知日派のジョセフ・ナイ氏死去、88歳 米国のソフトパワー提唱―国際政治の巨星:時事ドットコム