梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

日本が「反知性主義」じゃないなら

 トランプ2.0政権(というよりトランプ大統領自身)の暴挙が止まらない。今度は「米国産以外の映画に関税100%!」と言い始めた。

 

・映画の国産の意味って何?

・どうやって税金徴収するの?

 

 など、突っ込みどころ満載である。これなどは軽めの話だが、次年度予算から環境・ジェンダー等に関する項目を減らしているのは罪が重い。特に気になるのは有力大学との確執で、助成金を減らしたり、免税止めたり、留学生に圧力を掛けたり、教育方針に口をはさんでいること。抗議する人もいるのだが「反知性主義」のトランプ支持者は拍手喝采とも聞く。

 

 実は米国には国立大学がない。それでも潤沢な寄付や助成金で、有名大学は資金力豊富だ。もちろん、日本の大学より授業料も桁違いに多いのだが・・・。潤沢な研究費や充実した研究環境で、優秀な研究者が育っていた。しかしその状況は変化してきて、

 

・外国籍もしくはマイノリティなので、将来の身分に不安

・資金不足で研究の前途が見通せない

 

 ような研究者は、国外脱出を考えるはず。

 

パリの街角

 そこで、欧州(&フランス政府)が研究者誘致に5億ユーロ用意したとの報道(*1)があった。これなどは、日本政府もやってほしいことである。日本人や日系人の研究者にも優秀な研究者はいる。何度か会合でお会いした千葉工大の伊藤学長は、日本に戻ってきてくれた実績ある研究者の一人。

 

 もちろん日系でなくても日本で研究したい、日本で後継を育てたいと思ってくれる人なら大歓迎である。しかし、現実には日本国内では「減税か、バラ撒きか」の議論ばかり。「反知性主義」ではないはずなのだが、精々出てくるのは「高校無償化」くらいなものだ。

 

 調べてみると、文科省の予算はこの20年減り続けている。当時政府予算のシェアは8%あったのに、今では5.4%ほど。国立大学は法人化されて「選択と集中」を迫られるようになった。即効性のあるイノベーションが期待されて、いつ何の役に立つか分からない基礎研究が削減されている。

 

 トランプ政権の「反知性主義」を他山の石として、大衆迎合ではなく研究者育成に予算を回してほしいと思うのですが・・・。

 

*1:EU、研究者誘致へ5億ユーロ拠出 頭脳流出の受け皿目指す|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト