梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

デジタル技術者の処遇とAI

 私の「Global & Digital」政策活動の目的の一つは、デジタル技術者の待遇改善を企業に求めることであった。特にこの数年は、技術者の中でもセキュリティエンジニアの処遇について議論をしてきた。日本企業の、新卒一括採用・メンバーシップ型雇用・横並び処遇との闘いだったように思う。

 

 大手企業はまだしも、中小企業ではデジタル技術者の雇用すらしていないところが多い。それでもITを使えている(気になっている)のは、ベンダー丸投げだから。中小企業では仮にデジタル技術者を雇用できたとしても、それを使える管理者がいないのが大きな原因だ。

 

ホーチミンの街角

 しかし、昨今事情は変わってきている。大手企業からDXの機運が高まっているのだが、若手の人手不足が著しく特に技術者が採れない。そこで処遇改善の動きが顕著だ。懸念していたセキュリティ技術者のことも、あるコンサル企業幹部は、

 

「仕事は一杯来るのに、カネを積んでも人材が採れない」

 

 と言っていた。デジタル技術で、平均年収2,000万円を達成した企業も現れた(*1)。一安心のようにも思うが、残る懸念はいくつもある。

 

・2,000万円といっても精々14万ドル。カリフォルニア州なら低賃金

・若く優秀で日本語も話す人材を提供するオフショア企業もある(*2)

・コーディングレベルなら、生成AIが十分役に立つ

 

 最後のものが一番深刻かもしれない。現にテック企業の中には「AI導入によって新規採用が必要なくなった*3」と言うものも現れた。では企業はどうすべきなのか?

 

 キーワードは「使いこなせるか」である。上記のように、デジタル技術者を使いこなせないから丸投げになる。まず使える管理者を採用もしくは育成し、できれば自前でデジタル技術者を使えるようにする。手が足りない分をベンダーやオフショアに頼るのは(管理さえできれば)問題ない。

 

 AIも同じだ。上記の企業は、AIを使いこなせるから新規採用を見送れた。ユーザ企業でも、これからはAIを使いこなせる管理者の採用・育成が急務になるだろう。

 

*1:業界トップで平均年収2000万円超。浜松でIT技術者たちがつくる理想郷 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

*2:ベトナムを代表するIT企業「FPT」(1) - 梶浦敏範【公式】ブログ

*3:ASCII.jp:AIがあるので、今年はエンジニア採用やめました Salesforce