かつての日本産業界は、工業国として製造業が急成長したのだが、それを支えていたのが<総合商社>という業態。資源のない日本のために原材料やエネルギーを買い集め、完成した工業製品を世界中に売ってくれた。
現役時代「新事業」を担当することになり、霞ヶ関や金融機関などからの人材も受け入れたが、直接的な力になってくれたのは商社からの転職組や出向者だった。<総合商社>はデジタル以前から情報産業であり、日本最強のインテリジェンス機関とする説もあった。
その代表格である三菱商事が、管理職にはAIスキルを必須とする人事計画を発表した(*1)。商社という組織形態は、製造業のようなハイアラーキのものではない。やはり個々人の情報力、判断力が問われる世界だ。そのため、個人能力を最大限に活かすにはAI利用スキルが必要との判断だろう。

この企業の従業員は、平均年収が2,000万円を越える。上記のように従業員というよりは、小さな商社の社長との仕事上の立場だから、納得できる話でもある。ビジネス上の決断を下すのが最大の仕事だが、それに付随する事務作業も少なくない。それを何人かのアシスタントを雇ってこなすのだが、それをAIが相当部分代行してくれたら助かる。現時点でのAIアシスタントは、
・不平を言わない
・悪意を持たない
・ミスがほとんどない
メリットがある。AIを使いこなせいるどうかは、商社マンとしての業績に大きな差をつける。以前予言(!)した「プラスAI人材*2」の採用が、この業態では始まったということ。もちろんそれ以前に「プラスIT人材」「プラスセキュリティ人材」の資質もいるのだが、それらはすでに持っているということかもしれない。
アシスタントなど報酬の低い人が減って、業績(&報酬総額)が上がっていけば、平均年収数千万円の企業になるかもしれない。それでも、
・悪意を持たないはずのAIが裏切る
・AIモデルに「毒」を入れられる
など新しいリスクも増える。「AI時代のプラスセキュリティ人材」のことも忘れないで欲しいものだ。