梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

メディアも市場も警告している

 参議院議員選挙を控えて、各政党は「減税」論議エスカレートさせている。特にヤリ玉に揚がっているのが消費税。中でも税率8%の食品などの税率を下げる、もしくはゼロにすべしとの意見が多い。

 

 そんな中、与党自民党は減税策抜きで参議院議員選挙に臨むことを決めたようだ(*1)。ポピュリズムに堕すことなく正々堂々戦おうというなら、姿勢は買える。その背景には、

 

・安易な減税論に反対する

・代替え財源抜きでの議論は暴論

 

 という各所の主張をメディアが取り上げ、反ポピュリズムの論陣(*2)を張り始めたことがある。例えば、国民民主党は強く減税を求めているが、その支持団体<連合>はその姿勢を牽制している。

 

清水の舞台から飛び降りる勇気

 もう一つ、メディアだけでなく市場が警告を発しているのも確かである。「財源などは国債発行でいい」と主張する国会議員もいるが、日本国債はすでに危険水域にまで積みあがっている。各党が減税(≒国債追加発行)を掲げるものだから、国債が下落(金利が上昇)しているのだ。

 

日本の30年国債、値下がりで買いの好機-バンガードとブルーベイ - Bloomberg

 

 すでに2000年当時、日本国債の残高は約726兆円、GDP比で135%に達していた。バブルの後始末で(当時としては*3)大量発行をした結果である。そのころ、これを警告した小説がある。幸田真音著「日本国債*4」である。

 

 日本の金融機関からなるシンジケート団(シ団と略される)が、日本政府に逆らって国債を入札不調に追い込む話である。その時すでに、財務省は薄氷を踏む思いで年間120兆円もの短期~長期国債を売っていたのだ。

 

 この小説が発表されて四半世紀、いよいよ政府の覚悟が問われる時が来たようだ。

 

*1:消費減税は拒否、石破総理は「トランプと直接交渉」に参院選を賭ける?:永田象山 | 記事 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト

*2:[社説]参院選対策の消費減税公約は無責任だ - 日本経済新聞

*3:のちの「COVID-19」対策の追加発行に比べれば可愛いもの

*4:日本が破産する危機(後編) - 新城彰の本棚