梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

AIガバナンスはこうなる?(後編)

 もうひとつその企業の幹部を悩ませているAI問題が、情報共有とAIエージェント。大きな企業ほど社内での情報共有には苦労していて、同じようなことに挑戦して同じように失敗するなど「右手がやっていることを左手が知っていたら・・・」と思うことは多い。そこで、

 

社内情報共有に役立つAI - 梶浦敏範【公式】ブログ

 

 で紹介したように、社内に点在してフォーマットやID体系などを標準化していないデータでも、AIエージェントがクローリングして集めてくれるのは大変ありがたい(*1)。しかしその中には、

 

・個人情報

・社外秘情報

・機密情報

 

 などは混じっている可能性がある。ある部署では機密なのだが、他の部署はそうであることを知らない、そんなデータがたまたまクローリングに引っかかったら・・・。

 

これもJR大塚駅

 ではAIエージェントの方に、機密情報などを弾く機能を持たせられないか?実はAIエージェントというものも、まだ十分な「Battle Proof」を受けていないソリューションである。話す人毎に概念が多少違っているようにも思う。活用例として以前議論したのは、

 

AIエージェントによる個人情報保護 - 梶浦敏範【公式】ブログ

 

 のようなケース。

 

・Aさんはその情報を持っているが機密性がある

・Bさんはその情報に触れてはいけないが、情報を使った判断をしなくてはいけない

 

 時に、両者のAIエージェント同士が会話をし、Bさんのエージェントが「理由の詳細は言えませんが、選択肢としてこちらの方がいいと思われます」とBさんに言うようなことだ。問題の情報は、Aさん~Aさんのエージェント~Bさんのエージェントと渡るが、そこで止まり機密が守られる。

 

 こんなことが可能かどうかと思っていたら、MicrosoftGoogleが、複数のAIエージェントの連携で協力するとの記事(*2)があった。LLMモデルの選択、ベンチマークの活用、AIエージェントによる情報共有/保護というのが、ぼんやり見えてきたAIガバナンスの形なのかもしれない。

 

*1:標準化して整理したデータを集めたのがデータベース、そうでないものはただのデータレイク(湖)で、こちらの方が圧倒的に多い

*2:マイクロソフト、複数のAIエージェントを連携させる「Agent2Agentプロトコル」サポートへ。Google Cloudが提唱 - Publickey