梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

これが世界市民としての「戸籍」

 先月末、複数の証券会社の口座が乗っ取られる被害が発覚した。そこで証券会社各社は、被害者への補償を検討するとともに「多要素認証」の導入を進めるという(*1)。 またマッチングアプリでは、既婚者が独身と偽って登録するなどの行為を防ぐべく、登録時にマイナンバーカードを使う(*2)ともいう。

 

 これらは「サイバー空間で私が私であることの証明*3」をどうするかという、共通課題に個別対応している状況の、ほんの一部である。理想的には、標準的でかつ強固な本人確認手段がいくつか確立すればいいこと。リアル日本社会で言えば、実印と印鑑登録のようなものだ。

 

 しかもそれが各国政府という不安定なもののほかに、世界で一つのサイバー空間で共通の者であれば、もっと良い。その候補はいくつもあるが、新しくできた「World ID」と関連サービスがそのひとつ。

 

ワールドの「World ID」が国内Tinderユーザーの年齢認証に試用へ、米国展開やVisaカード、レンディングアプリも開始(あたらしい経済) - Yahoo!ニュース

 

ホーチミンのレストランにて

 すでに以下のサービスと連携している。

 

・Worldcoin
 ブロックチェーン技術を用いた分散型のデジタルトーク

 

・World ID
 生体認証デバイス「Orb」で虹彩をスキャンして本人確認を行い、AI時代の「本物の人間」を匿名で証明する

 

・World App
 World IDやウォレットへアクセスできる独自アプリ

 

・World Chain
 既存のブロックチェーン技術(イーサリアムなど)を活用し、高速で低コストな取引を可能にする人間のためのブロックチェーン

 

 もともとは暗号通貨の関連サービスなのだが、クレカブランドとの連携もできるようになり、一般市民にも身近なものになった。20世紀後半に、クレジットカードが本人確認の主流になったように、このIDが「世界市民としての戸籍」に発展するかもしれないとの期待を持たせる記事だった。

 

*1:[社説]証券口座乗っ取り対策を急げ - 日本経済新聞

*2:マッチングアプリのトラブル防止へ “独身証明”にマイナンバーカードの情報活用 | NHK | マイナンバー

*3:マイナンバーカードの本質 - 梶浦敏範【公式】ブログ