梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

新しいメディア「ラジオ」を利用して

 先週地元静岡県のラジオ局から、<セキュリティ・クリアランス(SC)制度>の解説を生放送でしてほしいという依頼があった。「え、ラジオ?」と思ったのだが、メディア事情に詳しい友人によると、

 

・映像はネット上に溢れていて、刺激が強めでないと受け入れられない

・公共放送NHKTVは、週のうち5分も見ない人が国民の半分もいる

・ラジオは耳だけで情報が得られる新しいメディア

・特に地方局は聴いている人が多いのでねらい目

 

 なのだそうだ。サイバーセキュリティに関する論点の中でも、SC制度は安全保障も絡んで難しいテーマ。サイバーセキュリティ問題そのものが個々人の「自分事」になっていないのに、どうやって説明したらいいか少し考えた。

 

熱海港遊覧船「サン・マリノ」

 時間は10分だけ、馴染みのスライドも使えない。その中で「自分にも関係が出てくるかも」とどれだけ思ってもらうかが課題だ。そこで、

 

1)まず制度自体を簡単に説明する。もともと重要技術の研究者が持っている情報や、政府だけが持っているような(安保)情報を、必要に応じて民間人も見られるが、守秘義務も課されること。

 

2)もともと公務員には情報管理の責任があったが、なぜ今民間人も加えられるかという背景を説明。AI・量子などの研究開発は民間人も多くやっているし、サイバー攻撃で止まったら困るインフラを支えているのもほとんどが民間人だから。

 

3)どうせウチの会社や、オレには関係ないよねと思っている人に注意を喚起。一見特殊な研究者や大手企業だけと思われがちだが、そういう人たちに製品やサービスを間接的にでも提供していたら、対象者になる可能性はあるとちょっと脅迫。

 

4)本質は世界の企業や市場と直接、間接を問わず付き合っていくため「私は信頼できる人物です。秘密は護れます」ということを示せるかということ。ある意味日本政府の「お墨付き」。

 

5)個人としてそれを得るために、飲酒癖や家族の国籍などを探られるが、プライバシーとビジネスのバランスでどう考えるか。企業としては、SC制度の資格を持った人をどう処遇するか、新しい人事制度を考える必要がある。しかしビジネスチャンスは増え、企業の安全度も高まる可能性がある。

 

 という筋立てで、できるだけ分かりやすい言葉で話し終えた。最初のラジオ出演、ちょっと緊張したが、少しでもSC制度の理解を深めてくれた人がいたなら有難い限りである。