梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

<X>が暴露メディアになるリスク

 もともと相容れない2人だとは思っていた。

 

トランプ大統領

 主目的は減税、環境問題は邪魔者扱い、製造業時代の経済感覚

 

イーロン・マスク

 主目的は財政再建、EV企業のCEO、AI&宇宙時代にも先鞭

 

 の2人が、なぜかタッグを組んでトランプ2.0政権を船出させた。その矛盾が、半年もたたないうちに噴き出すことになった。

 

トランプ氏「失望」、マスク氏「うそつき」 蜜月が一転、非難の応酬 | 毎日新聞

 

 きっかけは米国政府の次年度予算案で、マスク氏は歳出削減が不十分だと批判したのに対し、大統領は「マスクも見ていた」と反論。するとマスク氏は「いや、俺は見ていない。嘘をつくな」となじった。そこから後は、

 

・マスク氏は気が変になった

・恩知らずめ、私が支援しなかったら大統領になれなかった

・おまえの企業への補助金や契約を打ち切るぞ

・だったら、スペースXを米国政府に使わせない

 

 などと、子供の喧嘩のような応酬が続いている。

 

    

 

 マスク氏がNASAの予算を削減して、米国がスペースXに依存するようにしているから、米国の宇宙戦略は暗礁に乗り上げるかもしれない。その隙に中国・ロシアが、宇宙の覇権を確立する可能性もある。

 

 それよりも直近の課題として、DOGE省を率いていた時(恐らくセキュリティ・クリアランスを持っていない)マスク氏も、数々の機密情報に触れていた可能性がある(*1)。その内容をひょっとして漏えい、もっとあからさまに言うと<X>上で暴露してしまうのではないかとの懸念がある。

 

 薬物依存の疑惑もあるマスク氏は、実業家としても不安定なところを見せることはあった。それが本当に怒って「何もかもぶちまけてやる」と言い出したとしたら・・・。もしそのようなことにでもなれば<スノーデン事件*2>を上回る規模の衝撃を、世界中に与えることになる。ただでさえ孤立化している米国の凋落に留まらず、世界中のどこで新たな紛争や衝突が起きてもおかしくない。また、多くの血が流れ、命が失われるだろう。そのような事態に至らないよう、両者には冷静になって欲しいし、関係機関も注意を怠らないで欲しい。

 

*1:米国と機密情報共有してもいいの? - 梶浦敏範【公式】ブログ

*2:監視を抑制できるのは監視 - 新城彰の本棚