先月末、日本でも「AI推進法」が成立した。AIの利用を推進しようというのが趣旨で、強い規制や罰則は盛り込まれていない。AI法制の議論で、私はまずはソフトローからと思っていた(*1)ので、この方針には賛成する。
次に着目したのは、AIの定義(*2)。これも延々欧州委員会などと議論してきたもので、特にAI課税やAI兵器(LAWS)規制などを伴う場合は、ちゃんとした定義なしでは規制される側もする側も、混乱する。この法案(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律案)では、

「人工的な方法により人間の認知、推論及び判断に係る知的な能力を代替する機能を実現するために必要な技術並びに入力された情報を当該技術を利用して処理し、その結果を出力する機能を実現するための情報処理システムに関する技術をいう」
となっている。はなはだ面倒くさい表現だが、「認知・推論・判断」を行わせるという点が盛り込まれているので、欧州委員会の言う、
「データ・アルゴリズム・コンピュータの能力を結合する技術の集合体」
よりは現実に近い(*3)。
さて、この法律は大きな推進の枠組みを決めただけで、事実上の「基本法」。イノベーション推進とリスク管理が強調されていて、内容は、
・研究開発の支援
・透明性の確保
・自主性の重視
の3点。推進方法として決まったのは、次の2点である。
1)首相をTOPとする「AI戦略本部」を設置
2)開発や活用に関する(政府の)AI基本計画の策定
まあ、IT戦略(現IT総合戦略)やサイバーセキュリティ戦略で、私自身が関わってきたやり方と同じである。個人的にはAIはITの一部とも言えるので、IT総合戦略本部の中に置いても良かったような気もする。「AIは全てのITシステムに入っている」との考えが普及してきたら、その時にIT総合戦略本部をAI戦略本部に名称変更しても良いかもしれない。
世論としては「AIへの不安」も大きいので、それを払しょくする方向で利用と普及を促進する「基本計画」の策定を急いでもらいたいと思う。
*1:AI規制はまずソフトローから - 梶浦敏範【公式】ブログ
*3:ちなみにISOでは「知識とスキルを取得、処理、適用するための設計されたシステムの機能」としている