経済安全保障という言葉も、一部専門家の間のものからかなり一般の人にも知られるようになってきた。直接の軍事侵攻やミサイル攻撃でなくても、円安によるエネルギーの高騰や令和の米騒動も市民生活に深刻な影響を与える可能性があることを実感されたためでもある。自民党の経済安全保障推進本部(座長:小林鷹之議員)では、2021年から経済安保の議論をしてきて(*1)、この5月にシンクタンク創設の提案をしている。
「経済安保」の調査・研究担うシンクタンク、政府が創設検討…具体的なリスク分析し対策 : 読売新聞
これを受けて政府は、国家安全保障局(NSS)のもとでの経済安全保障リスクに備える体制強化を発表した。対処することとして、
・サイバー攻撃による重要インフラの機能停止
・重要物資の供給網の途絶
・感染症の拡大や自然災害による社会の混乱
などが挙げられていた。このシンクタンク(恐らく複数)は官民から人材を集めて設立され、

1)最新の動向に基づくリスク点検
2)供給網に関する調査・分析
3)官民の情報共有担う「協議会」運営
4)同盟国・同志国との連携
を行うとある。具体的には、内閣府が2026年に「重要技術戦略研究所」を設立、経産省が供給網に関する情報交換などの枠組みを「経済安全保障センター」として構想する。日本の先端技術を護ることや、台湾有事の際の貿易途絶などが当面の議論の対象となるだろう。
米国ではシンクタンクは「第五の勢力」とも呼ばれる権力を持っているし、昨年は英国で多くのシンクタンクと交流してその実力を知った(*2)。日本でもWWⅡの前に、民間の経済学者などの力で<日米もし戦わば>のシミュレーションをしている(*3)。
船橋洋一著「シンクタンクとは何か」にあるように、資金・データ・人材を集めて、政府・学識研究者・民間コンサルの間を埋めるのが役割。その時、WWⅡ前のように何らかの意思に支配されてはならず、中立・独立であることが重要な条件となる。今回の考えが、それに沿って動くのか注目してゆきたい。
*1:経済安全保障の意味(前編) - Cyber NINJA、只今参上