先週「令和国民会議」という有識者会合が、提言を発表した。いわゆる令和臨調提言である。
2020年度からの「コロナ対策」が顕著な例だが、このところ例外措置であるはずの補正予算が常態化していて、財政規律は緩みっぱなしである。その結果国債残高は1,440兆円まで積み上がり、長期債券の下落(金利上昇)が進んでいる。いつ「国債の引き受け手がない」という事態(*1)になるか、経済人はみんな恐れているはず。
選挙を控えた政治家は、与党も野党も有権者に耳障りなことは言えない。財務省に代表される官僚が口を挟めば「財務省解体!」のようなバッシングに遭う。そこでニュートラルな有識者が「本当のことを言おう」として出してくれる提言だと、正直期待していた。

結果は、期待外れである。危機感は十分理解できるが、こうすべきだの部分が生ぬるい。また、具体的な数字が少なく多くの市民に対してのインパクトに欠ける。取り上げたメディアもこんな調子だ。
債務残高GDP比25〜30ポイント下げを 令和臨調、財政健全化へ新提言 - 日本経済新聞
10年間で30ポイント下げの意味を、数値で書いて欲しかった。私なりに表現すると、
・1,440兆円の国債残高を、10年間でGDP比30%分減らすのが目標
・30%とは約180兆円だから、1年あたり18兆円は減らすことになる
・今年度予算では約4.5兆円借金が増えているから、22.5兆円支出を減らすか増税すべき
・消費税増税に頼るなら、約10%UPが求められる
・加えてこの10年間補正予算は認めない
となるだろう。正直これでもまだ甘い方で、一般会計しか議論していない。さらに今後増えるであろう防衛費や、インフラの改修費、基礎年金への補填などを考えれば、もっと歳出削減か増税をする必要がある。
何度か紹介しているように「いずれにせよ国民負担」なのだが、財政規律を提言するなら、このくらいは踏み込んで欲しかった。そのための有識者会合ではなかったのか?