梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

対サイバー犯罪の官民連携とは(1)

 私にもデジタル政策についての官民連携に関しては、20余年の経験がある。デジタル分野は技術の発展が速いので、行政府が「こうしろ」といって進むものではない。民間の意見を十分に聞くことが大事だと、経産省総務省内閣官房の人たちは理解してくれていた。しかし彼らとは異なり、警察庁防衛省・外務省の人たちとはうまい連携ができなかった記憶がある。民間から見れば「官尊民卑」の色が濃く、行政からは「訳の分からない言葉を発する連中」との意識がある。

 

 ある大手企業の霞ヶ関担当役員は「シビリアンとの連携と、法執行機関との連携は根本的に異なる」と言っていた。しかしサイバー犯罪がこのように蔓延してくると、官民連携は必須である。ただ直近、いくつもの課題が横たわっている。例えば、

 

京都大覚寺の中庭と渡り廊下

サイバー被害、警察との関わり方(後編) - 梶浦敏範【公式】ブログ

 

 で述べたように、民間企業は被害を局所化し、うまく復旧してブランド価値の棄損を防ぎたい。犯人検挙が目的ではないのだ。もっと具体的に言うと、

 

現場保存と事業継続 - 梶浦敏範【公式】ブログ

 

 で挙げたが、犯罪現場(例えばサーバ)を保全するより、リブートするなどして事業継続を優先しがちだ。この問題をどうすればいいのか?本音で各々の立場や想い、やりたいこと、望むことなどを語り合ってもらおうと、

 

警察庁でサイバー局設置に携わった人

・民間でデジタルフォレンジックをしている人

・大手インフラ企業のCISO

 

 に集まってもらった。 まず、サイバー犯罪に対しての日本警察の動きを聞くと、

 

・警察は県警が基本単位で個々に管轄権があるが、サイバー空間に県境はない

・頑張っている県警もあるが、全国に行き渡らせるサイバー犯罪対策要員もいない

・もちろん国境もないので、外国の法執行機関と連携する必要もある

 

 ということで、警察庁にサイバー局を作り、直轄のサイバー犯罪担当部署を置き、外国との窓口も一本化した(*1)。体制整備から3年経ち、国際連携で組織犯罪を取り締まる成果も上がってきている。警察から見れば、日本企業が被害に遭った現場は「宝の山」だという。

 

<続く>

*1:サイバー犯罪対応統一窓口 - 梶浦敏範【公式】ブログ