お盆休み明けの話題も、トランプ2.0政権の関税砲に関するものになってしまうのが情けない。医薬品について休み前に考察した時も、半導体チップ等への関税の言及はあった。その後のSNS上の「発表」を見ていると、
・半導体を含む輸入品に100%関税をかける
・生産拠点を米国内に移す(約束をした)企業については、対象から除外する
ということらしい。想定しているのはPCやサーバ、スマホ等かもしれないが、今や自動車・列車・建設機械・家電製品・時計・カメラなど半導体を使っていない機器は皆無である。これで「やっぱり自動車の15%関税に、100%上乗せだ」と言われたら困ってしまう。
トランプ氏、半導体への100%関税賦課を表明-米に生産移転なら除外 - Bloomberg
この記事には、同期してのことかは不明だが、Appleが1,000億ドル追加投資する話が併記されていた。

半導体産業は、とっくにファブレス化されていて、設計企業は工場を持っていない。それらの企業から生産を請け負う世界最大の企業が、台湾のTSMCだ。さらに計算機の能力はインターネットを経由して、世界のどこにあってもリモートで利用可能だ。クラウドサービスのサーバがどの国にあるかは、理論上制約にならない(*1)。米国人が自国でサービスを受けるのに、サーバが米国内にある必要はないし、米国内で造られたかどうかなどもっと関係ない。
結局何が目的かというと、米国内への投資と雇用創出である。上記の記事に「トランプと誓約を交わした主な企業の投資額と、雇用創出数」のグラフがあって、興味深く見た。
・投資額最大は Appleで600Bドル、雇用は2万人止まり
・雇用最大は Stargate Projectで20万人、投資も500BドルあってソフトバンクやOpenAI等が出資している
・雇用の第二位は現代モーターで10万人、恐らく自動車用半導体関連工場だろう、投資は21Bドル程度
・雇用の第三位がTSMCで6万人、米国内工場建設によるものだろう、投資は100Bドル
投資は(世界中に素早く移動可能な)カネなので問題ないとして、果たして半導体産業に新たに携わる技術者を米国内で数万人規模も集められるのだろうか?もちろんヒルビリーたちにはほとんど関係ない職場だと思うのだが・・・。
*1:課税やデータ保護法制等の違い、一時的なサービス規制などを、ある国の政府が差配することはある