梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

トランプ2.0の暴走を誰が止める

 昨日、日本政府や財務省も「裏金」をつくっているのではとの疑惑を申し上げたのだが、米国政府(いやトランプ2.0)の「裏金作り」はケタが違うように思う。就任以来、一方的に押し付けた関税による政府収入は、13兆円に上るとの報道もあった。そして8月までの昨年度に議会が承認し予算化されていた、USAIDの対外援助費用50億ドル(7,400億円)も取り消している(*1)。

 

 いやしくも米国は三権分立の国家体制である。侵略などを受けた緊急時に大統領権限を拡大することはあるが、平時には行政(大統領府)・立法・司法が互いを牽制する機能を持っている。本来議会で決議すべきことを次々に大統領令で決め、議会は事実上非機能状態にある。では、誰がこの暴挙を止められるのか?

 

 最後から2つ目の希望は司法である。乱発した相互関税などは違憲の恐れがあり、国際貿易裁判所に続いて連邦高裁も違憲の判断を下した。

 

        

 

米控訴審、トランプ関税は違憲と判断 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

 

 また、利下げに踏み切らないFRBに圧力をかけるため理事を解任しようとした件についても訴訟が起きている(*2)。FRBを始めとする多くの機関が大統領府などから独立性を保っているからこそ、米国社会体制や経済が信用されているのだ。それを侵す行為について、司法がどう判断するかが注目される。

 

 上記の関税関係の判断だが、最高裁に持ち込まれて11月には審理が始まるらしい。結審・判決の時期は見えていない。懸念事項としては、

 

最高裁判事の構成が、トランプ1.0政権時すでに共和党系多数になっていること

・仮に違憲となって相互関税などが無効になれば、政府予算に大きな狂いが出ること

 

 が挙げられる。違憲だけれど政府デフォルトはまずいとの判断になるかもしれない。

 

 「最後から2つ目」と言ったのは、本当の最後の希望は米国市民自身であるから。仮に司法が敗れても、最後の最後に市民が立ち上がってくれることを期待したい。それこそが、私の知っている米国市民であることを信じて。

 

*1:トランプ大統領がまた議会軽視、対外援助の取り消しを年度末に提案 - Bloomberg

*2:FRB独立性か大統領権限か 理事解任訴訟、歴史的判断に―米:時事ドットコム