今月、ちょっと肝を冷やしたサイバーインシデントの報道があった。ノルウェーのダムがハッキングされ、4時間にわたって放流を続けてしまったというもの。
ハッカーがノルウェーのダムをハッキングし4時間にわたり放流させる - GIGAZINE
ノルウェー政府は、犯人をロシア関連のものと発表している。ノルウェーは山岳地帯が多く、日本に似た地形をしている。ダムの数も少なくない。国際比較をすると、
■中国 98,000基、7,000億㎥(ダムの数、総貯水容量の順、いずれも概数、以下同)
■米国 9,200基、3,700億㎥
■日本 2,700基、200億㎥
■スイス 1,500基、60億㎥
■ノルウェー 1,000基、85億㎥
となっている。さすがに中国はケタ違いで、有名な三峡ダム(*1)に加え、チベット自治区ニンティ市により大きなダムを企画している。このダムは下流のインドやバングラディッシュの数千万人の生活に、大きな影響を与えると思われる。

そう、ひとたびダムに何かがあれば、大きな災害をもたらす可能性があるのだ。今回のノルウェーの事案では大きな被害はなかったようだが、ひょっとすると「試し」だったかもしれない。いざとなれば破壊工作が遠隔でできるぞという、脅しだった可能性もある。
この種のハッキングとしては、2020年頃からイランとイスラエルの間で上水道への攻撃の応酬があった(*2)。日本の状況はというと、国家サイバー統括室(NCO)が定める重要インフラ15分野に、ダムは入っていない(*3)。先年の名古屋港へのサイバー攻撃事例を受けて15番目に港湾が入ったように、今後16番目にダムが指定される可能性はある。
国土交通省の技術部会委員をしていた時に、国土関連のDXを論じていて「デジタル活用の国土強靭化はいいが、その分サイバー攻撃に対する課題も増える」と指摘している(*4)。ダムのデジタル管理がどこまで進んでいるかの詳細は知らないが、今後留意しておくべき事項だと思われる。
*1:全幅2,300m、高さ181m、貯水量420億トン。地球の自転を遅らせるほどという
*2:イスラエル対イラン、サイバー空間の暗闘 - 梶浦敏範【公式】ブログ
*3:ちなみに米国の重要インフラ16分野にはダムが入っている