トランプ2.0政権の横暴に対し、各国が連携した対応を模索し始めた。英国に続いてEUや韓国がTPP入りを標榜しているのもそうだし、上海協力機構の会合で中露の首脳にインドのモディ首相がにこやかに近寄ったのもそうだ。世界最大の人口を抱えるインドは、今世紀最も経済成長が期待される国であり市場だ。
そのモディ首相はトランプ政権には大変怒っていて(*1)、ロシアから原油などを買っていることで課せられた50%の関税に、敢然と立ち向かった。ロシアからの輸入は止めず、国内には景気刺激策として消費税下げを敢行している。
インド、景気刺激へ消費減税 首相表明後1カ月で実施、米関税の打撃を緩和 スズキやトヨタが歓迎 - 日本経済新聞
調べてみると、インドの財政赤字は日本ほどひどくない。(カッコ内は日本)
・2024年度単年度赤字対GDP比 4.8% (6.1%)
・累積債務対GDP比 83% (250%)

当面、減税で景気浮揚を図ることは可能なのだ。ただここにきてトランプ政権は、モノだけでなくヒトにも関税をかけてくる可能性が出てきた。
米で外部委託企業への課税案 インドITセクターに不安広がる | ロイター
やはり知恵者はいるようで、共和党のモレノ上院議員の提案は、ITアウトソーシングに25%の課税をかけるよう求める内容。物理的に米国のオフィスを設けなくても、インドにいて米国企業のIT-Workは受けられる。北朝鮮のIT-Worker問題(*2)は犯罪だが、インドの優秀なエンジニアを安く使えるアウトソーシングは、米国IT業界にとって重要な資源である。
AI活用が広がっていて、今米国の若いエンジニアは失業率が高い。「AI就職氷河期*3」とも称されれるが、彼らはAI以前にインドのエンジニアと競わされていたのだ。モレノ議員の提案は、企業がどう受け止めるかは別にして、彼らを援ける意味はある。さて、トランプ政権は「ヒトの関税」をどうするのだろうか?
*1:関税だけでなく、印パ紛争を不本意に鎮められたのが気に入らない。またインドから米国への留学生が不当な扱いを受けていると思っている