先の参議院議員選挙で国民民主党や参政党が議席を伸ばし、いわゆる「改憲勢力」が多くなったと護憲派の人たちは懸念をあらわしている。しかし(消費税減税問題と同じで)多数になったからと言って、改憲議論が進む気配はない。政局で忙しいこともあるし、改憲と一口に言っても各党想いは異なるからだ。
確か自民党は「緊急事態条項の新設」を先頭に掲げていたと思う。安倍2.0政権の時に影響力があったとされる<日本会議>は、
・緊急事態条項の新設
・個人から家族へ
・自衛隊の国軍化
を改憲の焦点としていた。しかし憲法学者の長谷部恭男教授は、著書「憲法の良識」の中で、緊急事態条項が悪用される危険性を述べていた(*1)。

何らかの緊急事態においては、超法規的措置が必要なこともある。しかし何者かが勝手に緊急事態を宣言し、行政権限だけを掌握して司法・立法を無視するリスクは確かにある。それが今民主主義の盟主だった国で起きていて、ヴィヴィッドに感じられた。それはもちろん、トランプ2.0政権のこと。
緊急事態だとして大統領令を乱発した議会軽視や、外国からの侵略以外では許されないはずの国内への軍隊(州兵・海兵隊)派遣を続けている。特に軍隊派遣については、ロサンゼルスへの派遣に連邦地裁が違反判断(*2)をしているのに、ワシントンDCにも派遣、シカゴ、ボルチモア、ニューヨーク(いずれも民主党系の知事のところ)への派遣も検討している。
そして今度は「住宅緊急事態宣言」を出す(*3)とも言われていて、とめどもない状態。思いつきだけのように見えるトランプ大統領の発言ではなく、政権中でも良識派と思われるベッセント財務長官の発言なので余計にがっかりした。これだけ「緊急事態条項の悪用」を見せられると、日本の改憲論議が停滞していることをむしろ有難く思ってしまう。複数の意味で、情けないことである。