梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

もっと直接的な「ヒトの関税」

 トランプ2.0政権は国内への製造業回帰を狙って(もしくはそれを言い訳に)、各種の高関税をかけている。しかしモノを作るにしても必要なのはヒトだ。例えば、ヒルビリーたちにそんな技術があるとは思えない。現代自動車のように、結局工場だけでなく労働者も持ってくることになる。それでは米国人の雇用が増えないので、

 

「米国人を教育してくれ」

 

 と情けないことを言っていた。一方非製造業、例えばビッグテックなどはAI活用とアウトソーシングや外国の優秀人材の採用をしていて、あまり米国人の雇用が伸びない(*1)。そこで、アウトソーシングに「ヒトの関税」をかけるという話も持ち上がった(*2)。

 

ワシントンDCの公園、ダレス空港に向かう機体が見える

 さて、どう出てくるのかと思ったら、もう少し直接的な「関税」がかかってきた。それは高度な専門職に与えられる<H1-Bビザ>の手数料上げ。現行、3~6千ドル(他に企業側が3千ドル)で得られたものを、一気に10万ドルに引き上げるという。

 

トランプ大統領のビザ規制、米印関係に打撃-貿易協議にも影響 - Bloomberg

 

 最も困る国は、この記事にあるようにインドかもしれない。しかし雇用しているビッグテックらの企業は、もっと困る。よく考えてほしい。ビッグテックのCEOら幹部の多く(*3)は純粋な米国人ではない。この状況が続けば、かの企業たちは開発拠点・サービス拠点を米国外に移していくことになる。それが米国経済にプラスになると思う人は、ホワイトハウス内を除けば多くないだろう。

 

 本気で出てきた「ヒトの関税」、産業界はどうしたらいいのだろうか?

 

*1:失業率が高いアメリカの大学専攻トップ15。文系だけじゃない、テック企業の採用抑制で長引く就職氷河期 | Business Insider Japan

*2:インドの関税対策とヒトの関税 - 梶浦敏範【公式】ブログ

*3:彼らはトランプ政権のもう一つの「関税」である、米国移住権「トランプ・ゴールドカード」を500万ドルで購入することもできるが・・・