梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

国家情報局の設立に向けて

 高市総理は2021年の自民党総裁選に出馬するにあたり、自らの政策目標をまとめた書「美しく強く成長する国へ*1」を出版している。この時の総裁選には敗れたものの、今年ついに総理・総裁の座を得た。そこで、この書にあった政策実現に向けて動き始めた。中でも、いわゆるタカ派的政策推進が可能になったのは、自公連立ではなく自維連立になったことが大きい。

 

 外交・安全保障の項目に挙げられていた、インテリジェンス機関の創設についても、まず自民党内に「インテリジェンス戦略本部」を設けて検討することになり、先週初会合を開いた(*2)。

 

エルサレムの教会で

 対外情報能力が低い日本の状況を打破するため、内閣情報調査室を国家情報局に格上げし、内調TOPの内閣情報官を国家情報局長に格上げする方針である。今でも内閣情報官は「総理と頻繁にサシで会う、唯一の官僚*3」だが、より責任・権限が増すことになる。

 

 本件は、高市総理の持論であるだけでなく自維の連立合意書にも記載されているし、国際情勢の緊迫化を受けて必須、いや検討が遅すぎるくらいの政策である。高市内閣以前にも、

 

・セキュリティ・クリアランス制度導入

・能動的サイバー防御法成立

・内閣サイバーセキュリティセンターを国家サイバー統括室に改組

 

 のように、デジタルを含めたインテリジェンス施策が進んでいた。日本の防衛・安全保障に関して懸念を訴える書を多く読んだのだが、その懸念点のいくつかは改善の方向に向かって動き出した。中には以前政治家が口にすると、猛烈なバッシングを受けたであろうことも含まれている。

 

 方向性は正しいし、多くの市民は理解を示してくれる。インテリジェンス機関を諜報機関と紹介し、対外ではなく国内の市民監視が強化されると非難するのは「赤旗」くらいだろう。あとは間に合うかどうかと、民間含め詰めなくてはいけない事項が多く残っていること。企業も個人も「平和は当たり前」と思っていたマインドを、転換しなくてはいけないのである。

 

*1:主張の9割に異論はなく - 新城彰の本棚

*2:政府のインテリジェンス強化へ、自民党が初会合…「国家情報局」創設に向け議論後押し : 読売新聞

*3:対外情報機関の「夢」 - 新城彰の本棚