梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

囲碁・将棋だけではない「AI以前・以後」

 囲碁・将棋の世界では、「AI以前・以後」という言葉が大きな意味を持っている。特にコンピュータがいつ人間のチャンピオンを倒すかが話題になっていたテーブルゲームの世界では、

 

・チェッカー 1994年にアルバータ大「Chinook」が勝利

・チェス 1997年にIBMの「Deep Blue」がカスパロフに勝利

・将棋 2017年に「Ponanza」が佐藤名人に勝利

 

 の順にその仮説が本当になっていった。特にほぼ無限の着手・展開がある囲碁の世界で<アルファ碁>が韓国人のチャンピオンに勝ったのは、衝撃をもって伝えられた。囲碁界では、その少し前から定石を見直す動きがあった。例えば、星に直接三三入りするのは「非常の手」と見られていたが、AI以後にはプロも普通に打つ。今では、定石は「AI以前」と「AI以後」の前置詞を付けて解説されている。

 

    

 

 その流れは、もっと幅広い社会に入ってきているようだ。例えば「話術AI」を用いて未熟な営業マンを育てるという話(*1)があり、採用面接でも「AIコーチ」を受けた応募者の成功率が上がる(*2)という。

 

 すでに生成AIを用いて課題レポートを書く学生がいて、教授が採点に悩んだり、AI利用の禁止や制限をするという話は聞いている。上記2つのケースでは、ファーストコンタクトについて「AI以前・以後」の変化が大きいことを示してくれているのだろう。

 

 特に営業マンの教育については、新人を採るより経験者採用に傾きがちな風潮を緩和してくれるかもしれない。「AI以後の営業技術」は確かに重宝だが、最後に決めるのは人間性であることは(新人さんにも)覚えていてもらいたい。

 

*1:新人が2カ月でトップ営業に 人材、組織を進化させる「話術AI」が示す商談の「勝ちパターン」:文字起こしを超えたAIが、相手の感情や会話の本質を可視化 - ITmedia エンタープライズ

*2:もはや「話し方」にもAI格差が……進化した“AIコーチ”でプレゼン・面接も怖くない |ビジネス+IT