梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

個人の危機管理としての「保険」

 補正予算は何とか通したものの、会期の限定された臨時国会では、

 

1)3~5種も提出された政治資金規正法改正案の決着

2)衆議院の定数削減に関する法案の審議

 

 まではたどり着けなかった。維新の会は1)に邪魔され(*1)て2)ができないとして、1)の採決動議を出すなど抵抗したが叶わなかった。

 

 もうひとつ、維新の会が提唱する「社会保険料下げ」の一環で、OTC類似薬の保険適用除外も、どうやら骨抜きにされそうだ。市販薬と同じような薬を医師の処方で供給すると、保険適用されて患者自身の負担は軽くなっている現状がある。7~9割引きの薬があるなら、時間に余裕のある人なら診療を受けて薬を手に入れる方(お薬受診)を選ぶだろう。これが過剰診療、薬の過剰投与を生んで保険者の負担になっているのだ。

 

    

 

[社説]市販類似薬の改革は腰砕けでいいのか - 日本経済新聞

 

 の記事にあるように、結局「維新案」は通らず、保険者(現役世代であり、彼らを雇用している企業)の負担は減らない。働いていない人たちが「お薬受診」で診療所の待合室を賑わし、診療所の経営を楽にしている状況を変えられなかった。

 

 本件に責を負っている人たちには、もう一度「保険」について考え直してほしいと思う。人は生きているうちに、思いがけないインシデントに襲われることがある。事故に遭ったり、疾病を発症するようなことだ。その対処については、

 

・軽い打ち身や食べ過ぎによる胃腸不良などの軽度なインシデント

 ⇒ 自己負担で対応してください

・交通事故等での骨折や、新性悪生物(癌)の発症など中度のインシデント

 ⇒ 保険をかけておき、自己負担を軽減してください

・戦争に巻き込まれたり滅多に起きない事故での(重度の)インシデント

 ⇒ あきらめてください

 

 というのが「人生の処方箋」である。民間の保険商品が、少しずつ重度の領域までカバーするようになるのは、ビジネスでもあるし悪いことではない。しかし、公的補助によって軽度の領域までカバーするというのはいかがなものか?関係各位には、もう一度保険の原点に立ち返った議論をしてほしい。

 

*1:各党は「議案は先入れ先出し」として、事実上通せんぼした