昨年末、こんな記事が目に留まった。
なぜ経済産業省は「中小企業のM&A」にこだわるのか?…その背景にある、日本人の給与が長年上がらない「根本原因」【公認会計士が解説】 | ゴールドオンライン
<The Gold Online>は資産形成関連の情報誌で、老後破産対策などの記事をよく見かける。お金に関して知見のあるライターが複数いて、個人だけではなく企業についてもアドバイスする記事もある。そんな記事の一つで要旨は、
・中小企業の事業継承とM&Aについて、経産省が積極的に関与している
・日本産業界の課題は中小企業の生産性が低く、上がってもいないこと
・企業規模を大きくすることで、地域経済を守りながら生産性向上を図っている
というもの。

この意見には全く異論はない。経産省が「中堅企業」という概念を持ち出した時も、その方向性には賛同した(*1)。日本の産業界には、企業の数に比べて圧倒的に有能な経営者が少ないという問題がある。規模のメリット以上に、優れた経営者の下にある事業が増えれば、生産性向上につながる。またデジタル化(DX)を理解した経営者がちゃんとしたIT投資を行うことで、一層の生産性向上が図れる。DXはIT要員を置けないような小さな規模の企業では、通常不可能だからだ。
経産省が企業の大規模化を求めるのは、上記のように当然だが、実は他の省庁も管轄下にある企業の再編・大規模化を望んでいる。
ゼネコン級企業はいいとして、多重下請け構造の先にある小規模(10人未満)工務店や「ひとり親方」などはDXできない。
医師会構成員である診療所では、やはりIT要員など置けるはずもない。しかし診療機器や電子カルテは増えているし、なによりマイナカード保険証対応は必須だ。
いずれも業界全体のDXを推進すれば、これら小規模事業者が取り残されてしまう。彼らを守ろうとすれば、社会全体のDXが遅れ結局市民がしわ寄せを受けることになる。経産省に倣い、全ての省庁が監督下にある産業の大規模化と「DX with Security」を推進してくれることが、私の「初夢」である。